信長協奏曲
このレビューにはネタバレが含まれています
アベンジャーズ/エンドゲーム
猟奇的な彼女
ジーザス・クライスト・スーパースター
ブロードウェイで流行したミュージカルを映画にしたフィルムで、日本人ではあまり親しみのない「キリスト最後の7日間」を描いています。 キリストを題材にした映画は多くありますが、こちらは当時ミュージカルという形でリリースしたことや、ポップスター的にイエスを扱うといった点でもめた経緯があります。とはいえ物語としての威力はすさまじく、特にイエスを裏切ったイスカリオテのユダの心は大変よく描かれているという良さが感じられました。 イエスは最後、あらゆる弟子たちに見捨てられ、鞭打ちの刑を受けたあと十字架を背負い、ゴルゴダの丘を登ります。この時が映画の最大の盛り上がりです。ユダはイエスの哀しい姿を見て、自責の念と奇跡が起こらないということに絶望します。この心の訴えをソウルフルに歌い上げるユダが派手過ぎていて、悲しすぎる印象を受けます。 イエスのことを最も愛し、信じていたのはユダではないかという視点がここでも生かされています。本当に自分たちを救ってくれるのはイエスなのか、それともローマ帝国なのか。ユダにはそれがわからなかったのです。 イエスの最後はみじめなものであったため、ユダはその姿により神への不信と叫びをつのらせます。ある程度新約聖書を読んでいると、このあたりは十分迫力が伝わってくる部分です。音楽も素晴らしく、終盤になるにつれて激しくなっていくあたりが、より悲劇性を増しています。
パラサイト 半地下の家族
ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット
ジャスティスリーグは、以前にも観ていましたが、スナイダーカットは是非!観たかったので、配信開始された時すぐに観ました。 4時間を超える作品で、以前に公開されたものと比較すると、倍の上映時間があり見ごたえありました。 個々の個性がかなり細かく表現されているのでスナイダーカットの方が自分は好きですね。 それと、同じ結果でも、プロセスが違う表現、演出をされているので、こちらの方を先に上映していたら、ジャスティスリーグ(以後JL)ももっと人気が出たのでは、と思いました。 とはいえ、これを劇場公開になった場合、4時間では公開していなかったでしょうね。 4時間の作品を、どこまで短縮して同じクオリティが出せたかも観たかった。 JLは、アベンジャーズと比較されがちですが、JLは少し違う毛色(少しダーク色が強いか)の作品だと思うので、比較するのではなく、JLらしさでいってほしいと思いました。 今後ですが、リーダー的な役割のバットマンがベンアフレックから、ロバートパティンソンに変わるので、JLの次回作はどうなるのか?ファンとしては知りたいところです。
夜の大捜査線
この映画「夜の大捜査線」は、南部の強烈な人種偏見と闘いながら、鋭い人間描写と緊迫感に満ちた演出で描いた社会派サスペンス映画の傑作だと思います。 1958年のスタンリー・クレイマー監督の「手錠のままの脱獄」でジドニー・ポワチエは、トニー・カーティスと手錠で繋がれた脱獄犯を演じていました。 それが、この1967年のノーマン・ジュイソン監督の「夜の大捜査線」では、頭のかたい保守反動的な、人種差別主義者の田舎町の白人署長ギレスピー(ロッド・スタイガー)をリードする敏腕エリート刑事に扮しています。 この映画の原作は、MWA新人賞を受賞したジョン・ボールの「夜の熱気の中で」。 主人公の黒人刑事バージル・ティッヴス(シドニー・ポワチエ)が、フィラデルフィアから南部の田舎町にやって来て、乗り換えのため駅で待っていたところ、黒人という理由だけで殺人の容疑者となった彼は、人種的な偏見と差別意識の強い、地元の白人たちと闘いながら、てきぱきとこの殺人事件を解決に導いていきます。 偏見のかたまりだった白人署長との間にも、友情が芽生え始めるが---------。 1958年から1967年に至る9年の間に、アメリカ社会ではどのような動きがあったのか。 公民権法が成立したのが1960年。 1963年のジョン・F・ケネディ大統領の暗殺をはさみ、キング牧師らをリーダーとする人種差別反対の集会やデモ、あるいは暴動が相次いで起こる。 そして、1964年にヴェトナム戦争が開始され、1965年には急進的な運動家であったマルコムXが射殺されている。 この映画の原題通り、まさしくアメリカ全体が"in the heat of the night"の真っ只中にあったのだ。 この映画で描かれている、黒人が白人を小気味よくやっつけるというモチーフは、そうした時代背景をリアルに反映していると思います。 もっとも、現実には、小気味よくやっつけきれないために、こういう映画を観てリベラルな観客、特に黒人は溜飲を下げていたのかも知れません。 この映画の撮影は、イリノイ州やテネシー州を中心に、全てロケーションで行われたそうで、泥沼状の河と広大な綿畑しかない南部の田舎町が広がっている世界だ。 そして、白人が黒人に対して抱いているイメージを執拗になぞるように、名手ハスケル・ウェクスラーのカメラは風景を映していきます。 この南部の風景自体が、この映画の主人公と言ってもいいかもしれないほどです。 そして、この綿畑を舞台にしたシーンで、ティッブス刑事が、彼を茫然と眺める黒人の小作人を横目に、綿畑を自動車でさっそうと駆け抜けていく。 バックに流れるのは、レイ・チャールズの歌。 そして、その時、運転席に座る白人署長の表情は、複雑で釈然としていないように見える。 時代の変遷、つまり、「過去」と「未来」の間に位置する「現在」の浮遊感といったものを、実に見事に表現した映像だと思います。 仕立てのいいスーツをビシッと着こなし、眼光鋭いシドニー・ポワチエ扮するティッヴス刑事が登場する最初のシーンは、カッコ良すぎるくらいカッコいい。 そのカッコいい刑事が、殺人犯に間違えられるところからこの物語は始まるわけですが、どんなエリートにせよ、なにしろ黒人なんだから犯人に決まっているという偏見の描き方が、異様なくらいにしつこい。 これくらい、しつこく描かなくては、"無意識下の差別"を抉りだせないという、ノーマン・ジュイソン監督の演出の意図が感じられます。 例えば、前半で登場する白人のチンピラ(スコット・ウィルソン)は、経済的にも精神的にも、社会の最底辺にいる人間であるはずなのに、それでも黒人よりは偉いと思い込んでいる。 あるいは、黒人刑事という理由だけで彼を平手打ちにし、殴り返されると、なぜ射殺しないと、白人署長に詰め寄る資本家の表情。 そして、気のいい奴の鈍感さこそが、差別の温床なのだということを十二分に表現する白人警官(ウォーレン・オーツ)の平々凡々たる顔。 この映画は、黒人映画のようなふりをしながら、実は"白人社会の惨めさ"をこそ描いた映画なのだと思います。 センチメンタルで進歩的な理想主義者にとっては、この映画のテーマは、非常にわかりやすいと思います。 娯楽作品としても非常に良くできていると思います。 レイ・チャールズの心の底から絞り出すような、哀切で魂を揺さぶるようなブルースが流れ、黒人と白人は和解できるかもしれないという予感が漂う、駅でのティッヴス刑事と白人署長の別れのラスト・シーンは、何度観ても目頭が熱くなってしまいます。 この映画の実質的な真の意味での主人公は、シドニー・ポワチエではないと思います。 彼を受け入れる白人署長を熟練のメソッド演技で、人間の内面の生々しい感情の揺れを迫真の演技で示したロッド・スタイガーだと思います。(因みに、アカデミー賞では、ロッド・スタイガーが最優秀主演男優賞を受賞) 地元のミシシッピーの田舎町で生まれ育った多くの者と同様に、人種差別主義者であるこの白人署長のギレスピーは、当初、黒人のティッヴス刑事を受け入れることなどできなかった。 しかし、その後、彼の言動に接していくうちに、次第に友情が芽生え、信頼が醸成されていく。 このあたりの微妙な内面の変化を、ロッド・スタイガーは、その表情やしぐさから、見事に表現していて、その巧さに唸らされてしまいます。 それにしても、結局これは、例えノーマン・ジュイソン監督が、ロック・カルチャーを通して黒人の文化や時代感覚に鋭敏だったとしても、白人による黒人映画なんだと気付いたのは、黒人監督のスパイク・リーの出現以後だ。 その後のスパイク・リー監督の「ドゥ・ザ・ライト・シング」で描かれた黒人社会の実情は、1967年当時とあまり変わっていません。 綿畑が都市の路地裏に移行しただけだと思います。 そして、スパイク・リー監督は、黒人と白人の和解などというものが、幻想に過ぎなかったということを暴露したのです。 もちろん、「夜の大捜査線」は、今の時点で観ても感動する。 ただ、その感動は、少しだけ居心地の悪い感動なのだ。
マイティ・ソー バトルロイヤル
鬼手
復讐心を胸に、ひたすら囲碁を打ち続ける、主人公の少年。 釜山で、何人もの大人を負かしてお金を稼いでいる姿を見ていたのが、片腕の棋士ホ・イルド。 少年は住む所もなく、もっと強い囲碁をしたいが為に、弟子入りするのですが…。 スパルタにも程があるけど、囲碁や将棋、チェスは歴史あるものです。 生半可では、上達の道はない、復讐すら出来ないのだな、と丸坊主になった少年を観つつ思いました。 そして、成長したら、いきなりアクションシーンが盛りだくさん。 囲碁が強いということが、仇となり、賭け対局をして負けた人から、恨みを買います。 すると、追われます。体力的な戦闘力もアップさせなければいけません。 後で知って驚いた主人公役のクォン・サンウ。無口でムキムキ。 「探偵なふたり」のベラベラ喋るあの人と同じ人とは思いませんでした。 最後の対局も印象的でしたが、個人的に占い師との対局が薄気味悪くて、面白かったです。 「神の一手」も面白かったですが、まさかスピンオフ作品とは思いませんでした。 「神の一手」を観ていなくても、囲碁を知らなくても、全く問題なく楽しめるアクション映画です。
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち
RED/レッド
ネットワーク
一級のカソリック(キリスト教を批判)映画。 エリオット・ローレンス作曲の、ショー番組のジングルミュージックが全編を表現しています。 ラストで、主人公は、キリスト教ギャング団がテレビスタジオに侵入、所持していた機関銃の銃弾で撃たれて、死にますが、クレーンに載ったテレビキャメラが、冷たく、倒れた主人公に寄って行く、演出は、大変、すぐれています。 映画途中の、テレビ放送局の役員が、ユダヤ教の説教、のシーンは、アメリカ合衆国の本質を示すシーン。 しかし、人種が違う私達(日本人)は、乗れません。 ダイナミック且つハイテンポな演出が乱れないのは、流石。 これは、テレビ番組のプロデューサーが女の場合は、大体、そのテレビ番組はキリスト教番組に変わってしまい、破綻を来たす、という、教訓的作品です。
コンスタンティン
ジョン・ウィックのシリーズも好きだけど、こちらのキアヌ・リーヴスが好きです。 こちらもスーツ姿が決まっています。煙草の消し方、吸い方、煙を吐く場所、そして、吸っている理由。 いきなり最初から、こういう内容が好きな方は、ワクワクが止まりません。久々に来た来た来た、と興奮しました。必ず、遺跡発掘が絡んでくるんですね。ソレを見つけた途端の人間が、人間でなくなる演出は、好きな方にはワクワク、苦手な方は回れ右して「停止」という分かりやすさです。 その後の展開も素晴らしく良かったです。 キアヌ・リーヴスも良いのですが、何と言っても、ガブリエル役のティルダ・スウィントン。彼女を初めて知った映画が、この作品ってかなり罪深い。ユニセックスな魅力全開で、ファンになりました。シャイア・ラブーフ演じる弟子のチャズも良かった。コンスタンティン(キアヌ)に牙を剥く、バルサザールも最高にカッコ良かったです。スリーピースと、謎のコインがお似合いでした。 娯楽作品ですが、この内容の金字塔のアノ作品も観たくなります。 何より、豪華キャストのこちらがシリーズにならないのか不思議でなりません。大人の事情があったのかもしれません。
灼熱の魂 デジタル・リマスター版
原作は、レバノンから亡命して現在カナダのケベック州に住む ワジディ・ムアワッドの戯曲『INCENDIES(火災)』であり、 監督・脚本はドゥニ・ヴィルヌーヴのカナダ映画。 そのカナダではジニー賞8部門受賞、ヴェネチア国際映画祭最優秀作品賞、 第83回米アカデミー外国語映画 賞にノミネート。なるほど、とうなずける内容だ。 映画ではレバノン内戦を背景に、一人の女の壮絶な生き様が浮き彫りとなってくる。 自分はこのあたり、あまり詳しい知識が無いのだが、それでも全く問題なく観られる。 レバノンというのは歴史的にキリスト教徒が多い国らしい。 第一次、第二次世界大戦を経て、キリスト教中心の国家となったものの、 パレスチナからの難民が流入する事によって、そのバランスが崩れ始める。 母親であるナワルの物語もまさにそういう背景が発端となっている。 中東におけるキリスト教徒とイスラム教徒の宗教対立のすごさ。 こういうものに疎い自分にとっては、何でこうなっちゃうのかな、 とつまらない疑問が生じてくる。 スカーフで顔を隠す、十字架のネックレス、 この違いだけで生死を分けてしまうのだ。 バスの襲撃シーンは忘れられない。走る子供。そして倒れる子供。 それを映し出すカメラの距離感が的確だ。 物語は母親が残した遺言によって、その子供である姉弟が 驚愕の真実を追体験していくという展開だが、どうして子供たちに こんなつらい思いをさせるのか、という批判的な意見も出てるようだ。 どうして? って、それは自分の子供たちには、 できれば真実を知っておいてもらいたかったからだろう。 でも口で説明する訳にはいかない。どう考えても口で説明しただけでは この問題の本質が伝わる訳がないからだ。 それに当然の事ながら、子供たちに面と向かってできる話でもない。 ではどうすればいいのか? それはやはり追体験してもらうしかない。 だから大変でも、回りくどいようでも、自分のルーツである場所に 足を運んでもらい、目で見て体で感じ、どんな状況から この恐るべき物語が誕生したのか、きっちりと知って欲しかったのだろう。 そうすれば子供たちもきっと全てを理解して受け止めてくれるはずだ、と。 その上でナワルが出した一つの決断、許すという事。 争いからは憎しみが産れ、負の連鎖を巻き起こす。 それを断ち切る為には誰かが犠牲となり、相手を許していかなければならない。 しかしそれはものすごい苦痛を伴う。簡単な事ではないのだ。 この物語はそこまでを描く事によって、ただエグいだけの話にとどまらず、 もっと大きな問いかけを我々に提示してくれている。
ゴーン・ガール
子供時代から有名だったエイミーが失踪し、夫のニックは不幸な被害者としてメディアもエイミーの捜索を呼び掛けていたものの、徐々にニックが妻のエイミーを殺したのではないかと加害者として世間から見られるようになります。一方エイミーの視点から結婚生活が徐々に崩壊していく過程が描かれていきます。夫のニックがエイミーを殺したのか、どうしてエイミーは姿を消したのか怒涛の展開になります。 無自覚・無神経な夫をベン・アフレックが好演しています。夫婦のなかでも徐々に関係がズレていき、淀んだ泥水のようにになっていく過程が描かれています。一方ロザムンド・パイクがたくましい妻を演じており、最初は彼女に共感して応援するものの、徐々に狂気にかわり恐怖を覚えます。そこまでするか!?と思わせますが、夫婦の形はそれぞれなのだとゾッとします。全世界を巻き込んだ大迷惑な夫婦喧嘩のお話です。男性はこの映画を見て、妻に対する振る舞いを省みると良いと思います。
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
レプリカズ
ショーシャンクの空に 4Kデジタルリマスター版
ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
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