翔太(濱正悟)は、かつて福島の震災ドキュメンタリー番組で高評価を獲得した東西テレビディレクターだったが、今はフリーランスとしてくすぶっていた。そんな翔太を当時の上司・小林(萩原聖人)が呼び出し、再び震災ドキュメンタリーを撮るよう打診する。家族を養わなくてはならない翔太は、渋々その企画を受ける。翔太が気乗りしないのには理由があった。かつて評価を得たあのドキュメンタリーの放送後、取材対象者が自殺したのだ。配慮を欠いた取材とそれを放送したことが原因であると感じた翔太は、後悔と共にテレビ局を去った。その過去から、今回の取材対象・佐藤(足立智充)に慎重に接する翔太。そんな翔太に業を煮やしたインタビュアーの美沙(鳴海唯)が、踏み込んだ質問を佐藤に投げかける。美沙もまたメディアの切り抜きにより仕事を干され、再起を賭けて必死だった。カメラの回らない中、佐藤は辛い過去を語り始めるが……。\n故郷・福島の農家と震災を題材にした映画『ハッピーアイランド』が映画祭で高く評価された渡邉裕也監督の新作。今作ではさらに「報道の在り方」をテーマに、過去や真実と向き合うことの大切さ、コンテンツ制作者の苦悩などを描き出す。
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