果たして、長生きすることが=幸せなのか?命について考えさせられます
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年8月19日 13時45分
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総合評価:
5.0
ガンで余命僅かな姉への移植のためだけに、人工的に生まれてきた妹アナ。しかし、アナは自分の人生を楽しみたいから、姉への人工移植を拒否する。果たして、姉とアナはどうなるのーー?って話です。
命について非常に考えさせられました。
後半になって、アナが移植を否定して裁判を起こしたのは、実はガンの姉である願いだったってわかって感動でした。姉の覚悟は僕には到底理解できるものではないんだろうと感じました。
姉の「植物状態になってもママはまだ電気ショックを与えようとしてくる。アナ、私を自由にしてーー」ってセリフが印象的でした。
どうしようもない諦めなければならない事実を前にして、周りが受け止めない中、一人覚悟を決めたんだなとかめちゃくちゃ考えさせられました。
この映画の言いたい点は、周りが現実を受け入れようとしてないから悪いとか、生きることを諦める姉が悪いとか、移植を拒否したアナが悪いとかそんなレベルではなくてもっと奥底の「命ってなんだろう。長生きすればそれで幸せなのか?」って点だと思います。非常に考えさせられました。
最後、アナが「なぜ姉が死ぬことになったのかは誰にも分からない。多分、それが正解。死は誰にも理解できない」っていうシーンがあって、これが物語の真髄であり、純然たるこの世の事実なんだと思いました。
当たり前にいる家族や親友、恋人も明日急に死ぬかもしれない。死という概念は誰にも理解できないが、理解できないことは理解できないで、だからこそ、今一瞬一秒を大切にしないといけないんだなと感じさせられました。
弱りきった姉の姿を見るたびに胸がぐぅうってなりました。今まで重大な病気にかかったこともなければ、親しい人が亡くなったわけでもなく、ごく普通に生活している人こそ、見るべき作品だと感じました。