煌びやかではない当時の土臭い感じがリアル
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年5月18日 15時37分
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総合評価:
5.0
元々戦国時代や歴史モノの作品は好きだったのに加え原作の小説が大好きだったので、実写化と聞いて相当楽しみにしていた作品です。
作品タイトルの「のぼう」は、主人公である忍城城代(お殿様みたいなもの)の成田長親がいつもヌボッとしていて何を考えているかわからないような「でくのぼう」であるところから来ているのですが、
その長親を演じている野村萬斎さんの演技は、個人的には「でくのぼう」ではないように感じました。
狂言師である野村さん独特の演技というか、初めは少し大げさなくらいに感じたのですが…いざ観続けてみると、逆にそのオーバーな演技が成田長親という人物の「何一つまともに出来ないけれどもとても人間臭く、愛すべきでくのぼう」といった性格をすごく上手に表現されていて、感嘆しました。
当時の農民たちの暮らしもとてもリアルに描かれていて、薄汚く土臭いけれども逞しく生きる民たちの力強さも感じます。
また、まだ幼少期の芦田愛菜さんも農民の娘として出演されているのですが、その可愛らしい愛菜さんと野村さん演じるでくのぼうのやりとりがとても愛らしく、観るたびにホッコリしてしまいます。
ところどころに切ないシーンや胸の痛むシーンはありますが、長親がただのでくのぼうで終わらない、狂言師の野村さんだからこそ演じられたのであろう後半の静かながらも鬼気迫る水上の船でのワンシーンは必見です。
イメージワード
- ・楽しい
- ・悲しい
- ・笑える
- ・泣ける
- ・勇敢
- ・切ない
- ・コミカル
- ・ロマンチック