ORLIK

「おれはオルフェだった、コワルスキーだった」\n脳の中で映画を撮影しながら、内戦の地に降り立つ男が見たものとは。\n”インナーチューブ”に暮らすインディペンデント映画作家のクラレンス・オルリック。\n何もかもに失敗し、彼は失意と赤貧に陥り、虚勢にすがるような暮らしにあった。些細\nなきっかけをもって、彼は”オールドボール”の文化再生機関に所属する秘密警察官・ミラーにより、不毛な内戦への関与を強いられる。\n時を同じくして、悪友フジキの手による装置”ボイルドブレイン”が完成。自己の意識を映像化し、カネも人手もいらずに映画づくりが可能となる電送装置を使い、オルリックは再起を賭ける。けれども装置の副作用として、彼は時間の感覚を失い、思い出と空想がない交ぜの迷乱した神経状態へと陥る。\n精神を蝕まれながら、戦地”アンペイドサラリーズ”へ送り込まれたオルリックは、爆撃と妄想が降り注ぐ旅路の中、映画への狂的な妄執に憑かれていく。