わたしはロランス
カナダのモントリオールで国語の教師をしているロランス(メルヴィル・プポー)は、ある日、恋人のフレッド(スザンヌ・クレマン)に対して女性になりたいと打ち明ける。ロランスの告白にフレッドは激高するも、一番の理解者になることを決める。迷いや戸惑い、周囲の反対を乗り越えて、社会の偏見に遭いながらも二人の人生を歩もうとする。
30歳と言えば多くの人が気力も体力も充実していて、仕事でもプライベートでもターニングポイントを迎えていることでしょう。そんな大事な時期に昨日まで男性として社会生活を送ってきたロランス・アリアは、バッチリメイクにスカート姿で教壇に立ちます。受け持ちの生徒が唖然としてしまうのは致し方ありませんが、教職員による会議が招集され辞職に追い込まれてしまうのが痛切です。 比較的リベラルで寛容なイメージが強いカナダでも、まだまだ性的マイノリティの人たちが生きづらさを抱えているのかもしれません。誰よりもロランスのことを愛していると自負するフレッド・ベレールでさえ、どこまでついていけるのか危ういですね。 春の空から降ってくる雨、夏のテラスで傾けるシャンパングラス、秋の並木道に舞い散る落ち葉、冬の町にはためく洗濯物。離れてはくっついてを繰り返すふたりの関係性が、移ろいゆく季節を背景に映し出されていて目を奪われました。カラフルな街並みや最先端のファッションの中にも、昔ながらの価値観や周囲の無理解が隠れているのを見逃さないでください。
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