愛しているのに・・・
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年2月25日 16時43分
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総合評価:
5.0
漫画家の西原理恵子さんと戦場カメラマンだった鴨志田穣さんの話。
映画は元夫婦の小泉今日子さんと永瀬正敏さんが夫婦役を演じるということで話題になった。
ざっくり内容を掻い摘むと戦場において多くの死を目の当たりにしたPTSDとアル中に苦しむ父とそれを支える母、かわいいけどそれだけではない子どもたち、それが西原理恵子の手腕によって鋭いながらも柔らかく描写された漫画を原作にした映画。
ほのぼのした雰囲気を醸し出しながらもアルコール中毒、今はアルコール依存症とかアルコール使用障害ともいわれる病に苦しむ本人とその家族の様子をしっかりと映し出している。
PTSDとアルコールの離脱症状である幻覚、幻聴に苦しみ、その苦しみから逃れるためにアルコールを摂取する。悪夢のループ。
映画の中のあるシーンで穣はみりんを飲んでしまう。
アル中の間では有名な話だが、アルコール分が含まれているならば味は二の次で何でも良いのだ。
入退院を繰り返す穣に待っていたのは癌。
法的には離婚した後でも受け入れてくれる家族。
穣は「子どもを傷つけずにすんだ。人間として死ねることがうれしい。」と言い、天に召される。
穣の死後、悲しみに暮れる母に子どもがとった行動とは・・・。
「神さま、私に子どもをありがとう」
映画館でこの映画を見て、このセリフを聞いたときはエンディングロールが流れ終わるまで涙が止まってくれなくて困りました。
笑いながらも泣ける映画でした。
西原さんや鴨志田さんの人格などにとやかく言う人もいますが、そんなことは抜きにして見てみることを強くお勧めします。