トランスジェンダーについて考えさせられました。
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月27日 16時54分
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総合評価:
4.0
『普通っていうのは異常ではないことよ。』
育児放棄された小学生のトモと叔父のミキオ、トランスジェンダーの恋人リンコの物語。
母親が留守にしがちで、いつもコンビニのおにぎりばかりのトモはミキオの家でリンコに出会います。叔父のミキオは性同一障害の末に女性の体になったリンコを恋人にしていたのでした。
始めは戸惑いながらも、家庭的な料理を作り、愛情をかけてくれるリンコにトモはすぐに打ち解け、家族の温かみを知るようになります。
トモの同級生のカイもリンコと同じ性同一障害で男の先輩に恋心を抱いていました。
リンコはトモと同じようにカイにも優しく接するのですが、ある日三人でいるところをカイの母親に目撃されてしまいます。
息子のトランスジェンダーを一番に受け入れて編み物でおっぱいを作り、ブラジャーまで買ってくれたリンコの母と対照的にカイの母親はリンコやトランスジェンダーを『普通ではなく異常』と毛嫌いします。
トランスジェンダーの存在を否定し、自分の恋心まで踏みにじられたカイは自殺未遂を犯すまでに。入院先の病室でトモに自分の母親の考えは間違っていると言われ、カイは自分の存在を肯定することができるのでした。
ある日突然にトモの母親が帰宅。トモに愛情を注ぎ、本物の家族のようになったミキオとリンコはトモを引き取りたいと申し出るのですが、トモは母親と暮らすことを選びます。最後の日には3人である供養をして、それぞれの生活に戻っていきます。
「普通とは何か」「母親とは何か」「トランスジェンダーとは何か」を考えさせられる映画でした。子供を産めなくても、母親以上に愛情を注げる人はどんなひとでも母親よりも素晴らしいのではないかと思います。
温かい音楽と緩やかな映像で、重いテーマをわかりやすく仕上げていた映画です。