「エクソシスト」の続編にあたる作品
2024年2月16日 16時57分
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総合評価:
4.0
このジョン・ブアマン監督の映画「エクソシスト2」は、全世界で"オカルト映画"ブームを巻き起こした、ウィリアム・フリードキン監督の「エクソシスト」の続編にあたる作品です。
だが、この映画は、あまりにも観念的で難解だったために、興行的にコケてしまい、一部の本当の映画好きの間で、もはや"カルト的な傑作"として認知されている作品なのです。
主役のリチャード・バートン扮するラモント神父が、悪魔祓いに失敗する冒頭から、凝った画面に引き込まれて、途中、何度も思わず"うまい"と口走り、映画を観終えた時には、心の中で拍手を送っていました。
さすがにジョン・ブアマン監督だけあって、「未来惑星ザルドス」で華麗なイメージの遊びを見せてくれた鬼才の名に相応しい出来になっていると思います。
とにかく、"知的で哲学的な大人のための怪奇映画"を作り上げていると思うのです。
エクソシズムに熱心なラモント神父は、私淑する先輩のメリン神父(マックス・フォン・シドー)の死の真相を調べる仕事を、枢機卿から命じられます。
そこで、今は精神分析の治療を受けているリーガン(リンダ・ブレア)に、ラモント神父は接触し、シンクロナイザーという催眠面接装置の力を借りて、悪霊に憑かれた時の記憶を探り出そうとするのです。
それによって、メリン神父が若い頃、アフリカでコクモという少年の悪魔祓いに成功したことがわかります。
この少年は、襲来するいなごの大群と、ひとりで闘える超能力の持ち主なので、悪霊に狙われたのです。
その辺から、素晴らしい映像美が展開して、まるでダリの絵をジグソー・パズルにしたものを、きっちりと組み上げていくような感じで、映画はクライマックスに最高の盛り上がりをみせるのです。
画面が互いに共鳴し合って、異様な興奮を醸し出す構成は、複雑だけれども、決して難解ではありません。
原題が「エクソシストⅡ ヘラティック」で、"異教徒、異端者"のことで、つまり、人の心の中の"正統と異端の闘い"が、この映画のテーマなのです。
だから、悪霊すなわち異端なる者が潜んでいるのは、リーガンの心の中だけではないのです。
母親の女優が海外ロケーション中に、リーガンの面倒を見ているキティ・ウィン扮するシャロンにも、ルイーズ・フレッチャー扮する精神科医のタスキン博士にも、そして、ラモント神父の中にも、異端が潜んでいるのです。
むろん、この映画の中心は、ラモント神父で、全ては彼が異端を乗り越えて、正統に達するまでの"心象風景"を描いていると言ってもいいのです。
特に、ラモント神父が、悪霊に導かれて、成人したコクモを探し歩く場面は圧巻で、いなごの仮面を被った超能力者を演じるジェームズ・アール・ジョーンズも実にいいムードを醸し出しているのです。
そして、それが虚像で、実像に一転する脚本のうまさ--------。
「エクソシスト」の原作者、ウィリアム・ピーター・ブラッティの名が、クレジットに現われないことでもわかるように、これは全く異質な映画で、「エクソシスト2」は、まさに傑作なのです。