残酷な世界に絶望する見ごたえのある一本
2021年1月19日 10時45分
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総合評価:
4.0
直木賞の候補になった貫井徳郎さんの同名小説の映画化です。エリートサラリーマンの理想的な田向一家が殺害されましたが、犯人が見つからないまま一年が経っていました。妻夫木聡さん演じる週刊誌記者の田中は事件の真相を突き止めるために取材を始めます。殺害された田向夫妻の同僚や学生時代の同級生、元恋人などに聞き取り調査を進めるうちに、夫妻の本当の姿が浮き彫りになっていきます。
週刊誌記者の田中の視点で物語が進んでいき、周囲の人が田向夫妻に対してどのような想いを抱いていたのか、夫妻の様々な側面が順々に追加されていきます。登場人物全員が人間の狡さや醜い部分を抱えており、絶望します。見終わった後は残酷さに呆然とし、イヤミスにふさわしい、ある意味気持ちの良い後味の悪さがあります。
妻夫木聡さんをはじめ、満島ひかりさん、臼田あさみさん、中村倫也さんなど今の邦画を支える俳優さんが多数出演されています。回想中の過去と現在の演技を分けており、演技力の高さも見ごたえがあります。