日々を丁寧に生きる
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年8月25日 20時35分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
「今までの人と違うってどうして言い切れるのか、ずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」という主人公ふみの考えに共感しました。そんなふうに思ったことがある人は、少なからずいるのではないでしょうか。
携帯を携帯していなくて連絡がとれなかったり、パンを食べながらバスの洗車を眺めていたりと、ふみがどういう人物なのかが全編を通して淡々と描かれています。ふみは日々を丁寧に過ごしていて、自分の考えをしっかり持っている素敵な女性だと思い、こんなふうに生きたいと思いました。この物語に出てくる人たちはみんな片想いですが、それを悲観することなく素直に気持ちを相手に伝えます。昔の大事な人に会うことを楽しみにしていて、また会えてよかったと笑う登場人物たちの優しい表情になんだかほっとします。
何か特別なことが起こる訳ではないけれどそれが心地よく、ラストの朝焼けの中をふみとたもつが並んで歩くシーンは、とても綺麗でふたりの距離感が絶妙で、何度も繰り返して観てしまいました。