傑作ではあるが説明不足なところもある作品
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月19日 00時35分
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総合評価:
5.0
この作品はガンダム作品をがっつり見てきて、富野由悠季監督作品も同じように多数見てきた自分は傑作と感じている。
また、前後のガンダム作品との繋がりが薄く、この作品単体で見ても問題ないのでガンダム作品の入門作品として扱われることも多く、その評価には納得できる面もある。しかし、この作品はもともとテレビシリーズ1クール分のストーリーらしく、展開が急で説明不足な場面が多々あるので少し注意が必要である。が、監督やスタッフの力量のおかげかぎりぎり初見でもストーリーを追えるぐらいに収まっており、逆に非常に印象深いシーンが連続して飽きさせないつくりになっている。
キャラクターも個性豊かで、侵攻してきた敵に無鉄砲に挑もうとする仲間たち、有能ではあるものの不真面目な兄貴分のようなパイロット、知性的で可憐さに加えて、自分の置かれた環境にすぐに適応できる能力まで持ったヒロイン。彼女に憧れの人がへつらうのを見て敵軍から脱走して主人公側につく女パイロット、平和ボケしてやる気がなく逃げ出そうとする連邦軍軍人たち、戦いを早期に終わらせるために単独で敵陣に乗り込むも民間人の犠牲ばかりを増やしてしまう連邦軍軍人、高貴な目的を持ったつもりで貴族と自分を称する黒幕と、その娘婿というだけで人類の半分を抹殺する計画に組み込まれてしまったラスボスなどなど、誰もかれもがストーリーのためではなく、自分の考えのために動いていて実に面白い。
以前のガンダムシリーズを見ていると楽しめる部分も多い。特にメカなどは以前の作品から数十年が経過しているのに同じ軍艦が使われていたり、過去に新型として登場していたモビルスーツがすっかり旧式扱いされていたりなど、歴史のあるシリーズだからこそできる演出で世界観に深みを生み出している。
監督が書いた小説版もありこれを視聴前、もしくは視聴後に読むとさらに理解が深まるのでおすすめする。