平和を願うふたりに迫りくるタイムリミット
2021年9月28日 20時17分
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総合評価:
4.0
自爆テロの実行役に選ばれたのは自動車修理工のサイードと、その幼馴染みのハーレド。働き者で家族を愛するごく普通の青年として描かれていて、絶対的な悪とは思えません。経済的な困難故に若者たちがハイリスクな行為に手を染めてしまうパレスチナの現状、さらには遺族に多額の年金が支払われるなど格差を生み出すシステムこそが元凶ですね。
工場にお客さんとしてやって来たサーハという美しい女性と、サイードが束の間の交流を深める様子にほっとひと息つけました。ヨーロッパで暮らしていたサーハが欧米の価値観を押し付けようとするのに対して、サイードが言い放つ「諸外国は遠巻きに眺めているだけ」は耳が痛かったです。
バックミュージックや効果音を極力排しているだけに、ドキュメンタリーのような緊迫感。予想外のアクシデントによって離れ離れになってしまったサイードとハーレドは決行当日までに合流できるのか、思い悩んだ末に下したふたりの決断を目に焼き付けてください。