横溝映画は猟奇映画の原点
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年2月1日 20時59分
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総合評価:
3.0
フト思ったのですが、最近こういう猟奇殺人の映画ってあまりやっていないように感じますが、本当はやっているのに私が見落としているだけなんでしょうか?特にこの横溝正史原作×市川崑監督はもう最高のタッグですね。もうこれタイトルからして何か恐怖感がヒシヒシ伝わってきます。
私は横溝ファンなので有名作品はだいたい小説を読んでから映画を見るという流れなんですが、今回もサイコキラーが暴れ回り、それをいつもの金田一や的外れな等々力警部(このボンクラ具合ってもしかしてコナンの毛利探偵の原型?)がやらかしまくるせいで第二、第三の殺人がいとも見事なまでにそして流麗に行われてしまいます。でも等々力警部のキャラは結構好きなんですよね。
金田一ってだいたい第三の殺人が起きないと犯人が捕まえられないんですよね。それに一番肝心な時には何故だかいつも居なくて、どこに行って何をしているんだと思ったら「実は〇〇県にいって珠代さんの故郷を訪ねていたらわかったことがあったんです」とか分けわからんこと言って最後は「私のせいでこのような惨劇を…」みたいに終わるパターンがあるので、見ていて安心?なのはいいんですが、捻りがないです。
でも映像は名監督市川崑の独特のカット割りが随所に出てくるのでファンとしては痺れます。今回は俳句?になぞった見立ての殺人が行われるんですが、殺人現場はどれもある種の甘美な匂いのする雰囲気があります。最近こういう日本古来のおどろおどろしさ漂う作品に出会えなくて物足りなさがあります。
やっぱり一番怖かったのは和尚のいう「キチガイじゃが仕方がない」とつぶやくセリフです。この本当の意味が分かった時に背中に戦慄が走りました。そしてこの狂気こそが犯人が求める美意識なんだと思った時には言いようのない恐怖に陥れられます。
全然関係ないけど大原麗子は綺麗ですね~