イーストウッドならでは
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月22日 20時36分
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総合評価:
5.0
イーストウッド監督作品が好きで今までも何本か観ています。その中で一番好きなのが、この『グラン・トリノ』。
彼の撮る映画は、何とも言えず嫌~な気持ちになるバッドエンドが多いのですが、これはちょっと違います。バッドエンドとも言えなくはないものの、それだけではない温かな余韻の残るような終わり方。愛を感じる終わり方なのです。
監督と同時に主演もしているイーストウッド演じるウォルト。彼は気難しい老人で、差別発言も連発する、一見とっても嫌なヤツ。
でもそれをあまり不快に感じず、彼の毒舌に思わず吹き出してしまうのは、彼が本質的な部分では温かな人間だからだと思うのです。
現に、隣に住むモン族の姉弟は、早くも彼の隠された人間性に気づき、次第に実の家族以上の絆が生まれていきます。
ラストでウォルトがとった行動は、残された者が穏やかに暮らせるよう、そして、自分自身も死んだ妻に顔合わせできぬような犯罪者にならぬよう、綿密に考えられたものでした。
直球ではないウォルトの愛に満たされながら、温かな涙を誘うエンディングが秀逸です。
ただし、暴力シーンや非道なレイプを思わせるショッキングな場面もあるので、その辺りはやはりイーストウッド作品であることを心して観るべきかもしれません。
イメージワード
- ・悲しい
- ・笑える
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