人生は、時間は、戻らない。
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年9月11日 15時48分
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総合評価:
5.0
人生の、時間の、不可逆なのを、この映画で知った。久々に鑑賞して、やっぱり醜い顔して泣いた。もし時計の針が反対周りするならば、戦争で死んだ息子が帰ってくるのに。バレエダンサーはタクシーに跳ねられ二度と踊れなくならずに済んだのに。しかし一度飛び始めたハチドリは、羽を休めることが出来ない。人生の不可逆を、運命と言うのも偶然と言うのも人それぞれ。
様々な人達が、或いは人生が、ベンジャミン・バトンの人生に現れては消えてゆく。雷に7回も打たれた人、ピアノを教えてくれた人、世界の広さを教えてくれた人、芸術家になった人、初めてキスしてくれた人、シェイクスピアが好きな人、母親になる人、そして、踊る人。愛した人達。彼ら一人ひとりがベンジャミンを少しずつ形作っていったんだ。
平行に伸びた二つの線が、やがて交わり離れていくみたいに、ベンジャミンとデイジーの人生は、交差しては、すれ違う。高校生ながらそこに人生の尊さを感じたおかげで、離れて生きるあの人ともいつかまた会えるという対象恒常性を得たのだろうか。
『なりたい自分になればいい。タイムリミットはない。いつ始めてもいいんだ。変わってもいいし、変わらなくてもいい。ルールなんてないんだよ。人生は最高にも最悪にもなる。もちろん最高のほうがいいけど。驚きに満ちたものを見つけて、それまで感じたことのないことを感じて、人と出会い、様々な価値観を知ってほしい。道を見失ったら、またやり直せばいいんだ。』高校生のころ、録音してへたばる程聴いた、この言葉は僕の人生観を間違いなく変えた。僕の人生を変えてくれた映画は『ベンジャミン・バトン数奇な人生』です。これからもこの映画とともに生きて死ぬと思う。
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