答えのない謎について考察できる
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年2月6日 17時13分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
この作品の意図どおり最初から最後まで謎ばかりで悩んでいるうちにエンドロールを迎えてしまいました。見ごたえがあってとても面白かったです。
イリスが帽子屋にやって来たいきさつは理解できるのですが、そこからはイリスと共に目の前で起こっていることを理解しようとしてもハッキリとした事実が分かりません。見せたいシーンだけをあえて断片的に続けていてシーンのつながりがないように思わせる部分もありました。そのような状態が最後まで続き、各シーンで登場人物が口にする言葉の意味を考えている間に映画がどんどん進んでいって気が付いたらエンドロールが流れていた感じです。
舞台となっている当時のブタペストは混乱の最中にあったようでその世界とこの映画がリンクしているようにも感じました。「〇〇は誰なのか」「そんなの誰でもいいんだよ」というやり取りは、イリスだけでなく他の登場人物も全ての事実を知らない世界を表しているように感じます。イリスと一緒に追い詰められていく感覚があり、見終わってからも色々と考察できる映画だと思います。