言葉集めに命を懸ける
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年9月1日 11時09分
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総合評価:
5.0
舞台は植民地時代の韓国。日本政府の統治のもと同化政策により消えていく韓国語を守るために朝鮮語辞典を作るために活動した人たちの話です。マルモイというのは韓国語で말모이と表し、言葉集めという意味です。政府の厳しい監視下で未来に残された者たちのために、命を懸けて辞書を完成させていく姿に非常に心を打たれ、最後には涙が止まりませんでした。ストーリーもよいのですが、劇中に出てくる一つ一つのセリフにも考えさせられるものが多かったです。「言語は文化を表す」というセリフがあるのですが、文化を丸ごと奪われるという事はその人たちが生きてきたそのもの自体を否定するような行為であり、言葉を奪うという政策は当時世界中で行われていましたが酷く残忍な行為であったのだと改めて感じました。脚本は『タクシー運転手 約束は海を越えて』のオム・ユナのデビュー作であり有名な映画の脚本化だけあって、ストーリーも短いとも長いとも感じず見やすくボリュームもちょうどよかったです。戦争映画ですが、グロテスクなシーンもなく歴史の教材としても十分だと思いました。また韓国語に興味がある人、韓国語学習を始めようと思う人にもおすすめしたしたいです。作品の中で韓国語の作りを詳しく説明しているシーンが出てきてとても興味深くおもしろかったです。