夫婦の愛情が切なく温かい
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年5月24日 01時36分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
慎ましく幸せに暮らしている三村家。子供好きの新之丞は出世にあまり興味がなく、隠居して剣術道場を開くのが夢で、妻・加世と徳平はそんな新之丞を慕って尊敬している。
何気ない会話がとても微笑ましくて、新之丞が失明してからの加世は懸命に新之丞を支え、現代の家族の形と何ら変わらない愛情の深さを感じられる映画だと思った。
加世を離縁し島田との果し合いに挑む新之丞の姿は武士そのもので殺陣のシーンも見ごたえがあった。失明しても武士であることを忘れず生きる姿に感動した。
木村拓哉の演技はどの作品でも同じ“らしさ”が強く出ている印象があったが、この作品では三村新之丞という武士が前面に出ていてとても良かったと思う。細かな所作や話し方から新之丞の人柄と心情が伝わってきて作品を楽しむことができた。
加世役の檀れいは武士の妻・一人の女性としてとても魅力があり、最後まで新之丞に尽くそうとする姿が健気だった。
夫婦の愛情が中心となった時代劇映画で切ないが温かい作品だと思う。