海の上のピアニスト
「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレが伝説のピアニストの半生を感動的に描いた人間ドラマ。1900年、大西洋上を行く客船の中で生後間もない赤ん坊が見つかった。その子供は、生まれた年にちなんで“ナインティーン・ハンドレッド”と名付けられるが、船内のダンスホールでピアノを聞いて育つうちに、驚くべき才能を発揮するようになる……。
終始笑わないティム・ロス。いや彼はこの映画では自身の出生のことで笑わない方が似合っているのかもしれません。船の上で生まれてこのかた一度も船から降りたことのない1900(ナインティーンハンドレッド)の奇妙な人生と才能溢れるピアノの腕前。そして古き良き時代を彷彿とさせる映像美にどこまでも酔いしれる作品だと思います。 トルナトーレ監督と言えば「ニューシネマパラダイス」が人生最高の映画と称賛する人がほとんどで、どのレビューを見ても必ず上位にくる作品ですが、私は全く真逆の評価で、どこに面白さや心の機微があるのかが到底理解できませんでした。しかし「海の上のピアニスト」は素晴らしいです。ストーリーはところどころに突っ込みどころもあり、無理もあるのかな?と感じますが、映像と音楽が素晴らしいのです。 よくありがちなクラシックピアノではなくジャズピアノを採用したのもこの作品をより一層魅力あるものにしています。1900がくるくると回転しながら弾くピアノは本当に楽しそう。そしてあのガチンコピアノ一騎打ち対決。一見すると熱い勝負に感じますが、冷静になるとただの早弾き合戦ともとれます。 ただ問題の最後のシーンにはちょっとがっかりしました。あのご都合主義はないんじゃないのトルナーレさん? 私は映画のサントラには一切の興味が無いので買わないのですが、これだけは買ってしまいました。それだけ音楽の魅力がこの異色な作品を大いに盛り上げているというわけなんです。
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