『誰も知らない』子供たち
2021年2月7日 21時38分
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総合評価:
4.0
『万引き家族』で、さらに世界的な知名度を上げた是枝裕和監督作品。
主演の柳楽優弥が若干14歳、史上最年少でカンヌ国際映画賞男優賞を受賞したことでも大きな話題となりました。
この映画で特筆すべきは、なんと言っても出演者達の自然な演技。
それはもう「みんな素だよね?」と聞きたくなるような、もはや演技とも呼べないのではないかと思えるほどのナチュラルさ。まるで隠し撮りカメラで撮られたドキュメンタリー番組を見ているかのようなのです。
母親役のYOUに至っては普段の彼女そのままで、もし本当に演技しているのならこれが女優初挑戦とは到底思えないほどのハマり役でした。
この映画は1988年に発覚した『巣鴨子供置き去り事件』をベースに描かれているようですが、描写はあくまでもソフト。コンビニ店員や女子中学生など、脇役から多少なりとも思いやりや優しさが感じられ、それがわずかながら救いになっています。実際はもっと悲惨な状況だったようです。
この世に生を受けながら、学校に行けず、母親に見放され、満足な衣食住さえ保証されず、まるでこの世にはじめから存在しなかったように扱われる彼らの姿。『誰も知らない』というタイトルがまさに彼らの置かれた過酷過ぎる状況を端的に表しており、胸が締め付けられる思いでした。