終着駅
アメリカ人の若い人妻・メアリーは、妹を訪ねてローマへやってきた。滞在中、彼女は1人の青年と知りあい、激しく愛しあうようになる。やがて帰国する日を迎え、メアリーはどうすることもできずに駅で列車を待つ。だが発車の数分前、青年が駅に駆けつけた。
ヴイットリオ・デ・シーカ監督の「終着駅」。 テーマ曲の”ローマの秋”のやるせない旋律が流れ、秋深いローマ駅の黄昏の風景の中で、激しい恋の最後の炎が燃える。 かなり通俗的な設定だが、ヴィットリオ・デ・シーカ監督の演出は、ドキュメンタリーのように、リアルに時間を追い、オール・ロケの効果と共に、緊迫した映画空間を創り出している。 段々と暮れてくる駅の様子と、恋の終わりを上手く溶け合わせたところ等、憎い演出で、秋の冷気と別離の淋しさを感じさせるラストが、実に秀逸だ。 それにしても、この「終着駅」という映画は、モンゴメリー・クリフトという俳優のナルシスティックな一面が全開した映画として、実に印象深い。 ローマに旅行中のアメリカの夫人ジェニファー・ジョーンズに恋をしてしまい、帰国しようとする夫人をローマ駅まで追って来る、イタリア青年を演じているが、恋というよりは、年上の女にすがろうとする、孤独な青年のドラマという感じで、フランソワーズ・サガンの「ブラームスはお好き」を思わせるものがある。 発車する列車から飛び降り、ホームに転んでしまうクリフトの姿は、まさに淋しい少年そのものだ。 この甘さ、このやるせなさは、演技で出せるものではないと思う。 ジェームス・ディーンがそうであったように、この男の少年性は、クリフト本人が持っているものに他ならない。 最後の会話を交わすシーンで、クリフトの見せる表情と、列車が発車してしまってからの表情のデリケートな違いに、私はいつもこの映画の、いやクリフトの謎を見る。 すがりつこうとする弱さと、それを振り切ってしまう強さ。 クリフトは、この二つの表情の間で、実にセクシーに揺れているのだった。
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