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「煌びやかで猥雑、甘美な陶酔感がたまらない、大人のためのエンターテインメント映画」 シカゴ dreamerさんの映画レビュー

シカゴ Chicago

煌びやかで猥雑、甘美な陶酔感がたまらない、大人のためのエンターテインメント映画

2025年4月29日 16時08分 役立ち度:0人
総合評価: 5.0
1920年代のシカゴ。スキャンダル好きで、飽きっぽいこの街で、またしても殺人が。
舞台でのスターを夢見るロキシーが、不倫の相手を殺して逮捕されたのだ。

獄中の先客で大スターのヴェルマも、同じく殺人罪だが、敏腕かつ金権弁護士のビリーを雇って、刑務所の中で脚光を浴びているのだ。

彼女を見て刺激されたロキシーは、同じくビリーと手を組んで、一躍スターダムにのし上がろうとするが、世間の注目を奪われたヴェルマが、黙っているはずがないのだ--------。

この映画「シカゴ」は、元々は1975年に、ブロード・ウェイの神様・ボブ・ファッシーが手掛けた大ヒット舞台劇の映画化作品ですね。

この舞台劇は、映画「キャバレー」でも有名なボブ・フォッシー監督の演出だけあって、当然テイストは、ダークで退廃的だ。

スキャンダルを利用して、ショウビジネス界でのし上がろうとする二人の歌姫と、名声を操るやり手の弁護士の思惑が交錯する物語は、家族愛や人間愛というモラルとは一切、無縁の世界が描かれているんですね。

しかし、ロブ・マーシャル監督のこの映画化作品には、そのようなものはなくとも、圧倒的な魅力があります。

大きな目のアップの導入部から、階段を駆け上がるスピーディーなショット。
名曲「オール・ザット・ジャズ」で始まるオープニングは、文句なくカッコいい。

粋なステージを最初からたっぷり見せられたら、もう誰もがこの作品の虜になってしまうこと請け合いだ。

舞台でキャリアを積んだロブ・マーシャル監督は、この作品が初監督ながら、その演出の手腕は非常に高いと思います。
エネルギッシュなパワーが、画面いっぱいに炸裂し、ゴージャスなドラマが幕を開けるのだ。

唐突に歌い出し、不自然に明るいミュージカルを苦手とする人は、意外と多いものだ。
しかし、この作品の演出の特徴は、登場人物の空想部分を、ショウ形式で表現している事だ。

本来、留置所という地味な場所ながら、心象風景を歌と踊りで華麗に演出し、華やかなステージとサスペンスフルな裁判を同時進行させているんですね。

とにかく、ミュージカルにつきものの不自然さは皆無で、その切り替えが、実に巧みなのだ。

更にこの作品の最大の魅力は、ある種のブラックさだ。
なにしろ素材は、"美人妻の不倫殺人"。
獄中にいる人物が、茶番劇の裁判で、時代の寵児になり代わるというのだから、相当にクレイジーなのだ。

さあ、最後に笑うのは、いったい誰なのか?----------。

この作品は、出演俳優の達者なパフォーマンスも見逃せない。
なんでも、キャサリン・ゼタ=ジョーンズとリチャード・ギアは経験者らしいが、初挑戦のレニー・ゼルウィガーは、この二人に比べてちょっと拙い。

舌足らずな歌い方は、ハラハラさせられるが、それが少しおバカだが、したたかでこ狡いロキシーというキャラクターにピッタリ合っていて、結果的に成功しているからたいしたものだ。

リチャード・ギアは、彼のタップが話題となったが、腹話術で人形を操るシーンが、アイロニカルで出色の出来だったと思います。

そして、グラミー賞歌手のクィーン・ラティファの上手さは言うまでもないが、気弱で哀れな、ロキシーの夫役のジョン・C・ライリーの歌の意外な味わい深さも捨て難いものがありますね。

ミュージカル映画の作品賞のオスカー受賞は、1960年代の「オリバー!」以来の快挙で、登場人物の全員が悪い奴で、したたかに生き抜く彼らの姿は、なんと痛快なことか。

悪の魅力に満ちた男女の原動力は、名声への欲望だ。
煌びやかで猥雑、甘美な陶酔感がたまらない。

この作品は、"極上"という言葉が思い浮かぶ、大人のためのエンターテインメント映画だと思います。
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