人気アニメ映画の実写化やいかに!
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年9月2日 02時30分
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総合評価:
3.0
東京リベンジャーズの原作を読了したのち、アニメも今出ているものを最後まで鑑賞して、満を持して、映画館に向かった。観客は若年層を中心に、コロナ禍とはいえ賑わっていた。
作品の内容はというと、アニメや漫画では中和されていた暴力表現が、極めて緻密に描かれており、なかなか満足度の高いアクションだった。特に、ドラケン演じる山田裕貴のアクションには、一昔前のクローズゼロの小栗旬にかぶるところがあり、一番人気のキャラを演じるにふさわしい動きだった。
問題は、北村匠演じる主人公の扱いである。原作通り、非力でイキリがちなヤンキー少年という設定を、それ通りに実写で描いているのだが、その設定を実写でやってしまうと、かなり胸糞に見える。どの喧嘩のシーンでも、いの一番にボコボコにされ、もちろん血糊をつけて痛そうにメイクも施されるものだから、ほとんどイジメのような画面になってしまう。いくら最後に打ち勝つという構成になっているとはいえ、映画の中の100分くらいは、怪我だらけで、口からも体からも血が出ていて、見ていて辛いものがあった。
さらに、マイキーという最強キャラを演じる吉沢亮のキャラクター造形が、なかなかに違和感があった。というのも、原作通りの髪型・髪色・髪質が、どうも吉沢亮が持つ顔面には合わず、なんとなくアメリカで演じられる日本人キャラみたいな外見になってしまっていて、格好良く見えなかった。
古き良きヤンキー映画にあるような、仁義の精神みたいなものが、主人公サイド、つまり東京卍会の側には仲間意識や倫理観・一般人には迷惑をかけないという精神性が見える。しかし、その相手サイドには、その感覚が一切ない。圧倒的に悪者なのだ。そのせいで、悪役に魅力がない。この手のバトルものには、悪役にも一定の魅力がないと、見てられない。
そういう面では、現在放映中のアニメ2クール目では、敵側に元の仲間がいたり、悪役にもドラマがあって、ぜひ次回の実写化は、その点を改善してほしいと思う。