映画内映画の金字塔?
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年9月2日 02時47分
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総合評価:
3.0
映画の内容というよりは、見終わった後、「あぁ、俺もこうやって映画を作ってたよな」と振り返って、「映画してぇなぁ」と思えたから、肯定派です。映画映画という代物は、そう思わせられたら、ある意味で成功だと思います。
私は現役で映画を作っている人間なので、この手の映画を作るという物語の映画には、すごく過敏になってしまいます。自分が学生の頃に作っていた環境との違いとか、ここはリアルじゃないなとか。
だから例えば、登場人物が未来からやってきたという設定は不要に感じます。映画を作る青春譚で十分に感動的な物語を作れるはずなのに、作り手の、この作品に「映画の未来」という要素を残したいというエゴが見えたり。。。
未来の映画は5秒でも長編なんていうセリフが出てくると、「うわぁ、ファスト映画とか倍速鑑賞みたいな今の問題を入れてきた〜」みたいに感じてしまって白けてしまいました。
それに映画制作中は、やけに順調に撮影が進むし、問題を解決する他スタッフの参入でも、高校生に手に入れられるとは思えない高価な機材や専門的な道具が出てくる。
映画制作の話なのに、照明部という部署の扱いは、ギャグ的に用いられ、彼の自転車のライトによる照明部分は、かなり浮いて見えました。チグハグな映画制作の末に、完成した映画に夢中になる上映会がラストで訪れます。これほど説得力のない物語は珍しいでしょう。
それでもやはり、ラストの「俺、未来でも映画作るよ」というセリフには、映画制作者としては感動してしまったし、この映画を作った監督が、映画出身ではないことにも感動してしまいました。何より、映画の配役には素晴らしいものがあり、アイドルから俳優への転身を華麗に済ませた伊藤まりかは、本当に愛くるしくて、かわいかったです。
この監督の次回以降の映画に期待します。