田中さんはラジオ体操をしない
大手電機会社の工場の門前で約30年にわたり、企業ファシズムを批判する歌を歌い続けている田中哲朗。毎朝のラジオ体操を拒否したことがきっかけで1981年に会社を解雇された彼は、自作の歌を毎朝歌って会社の不当解雇に抗議し続けてきた。携帯電話もインターネットもない時代から、たった1人で権力と闘ってきた彼の姿を映し出していく。
某電機メーカーの八王子工場の前で、20年以上に渡って毎日のようにギターの弾き語りを披露する田中哲朗のキャラクターに惹かれてしまいます。株主総会ではガードマンの制止を振り切って乱入、議論白熱となった会場では取っ組み合いの大乱闘。外では破天荒の塊のような田中さんが、家に帰るとごく普通の夫であり良き父親であるのが面白いですね。 世の中から「変わり者」の烙印を押された田中さんについて、「尊敬しています」とサラリと答えてしまう息子さんが素敵です。そのひと言を聞いた田中さんが、思わず素顔をさらけ出してしまうシーンにはホロリとさせられますよ。 たかが始業前の数分間の社内行事でそこまで意地を張らなくても…などと多くのサラリーマンの皆さんが妥協してしまうのでしょう。一方では戦前の軍国主義とラジオ体操の意外な関係性、さらには21世紀の日本に広がりつつある同調圧力との不気味な繋がりも見逃せません。田中さんの独り相撲なのか、社会全体が危うい方向に向かっているのか考えてみてください。
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