神弓 KAMIYUMI
西暦1636年。清国が朝鮮半島に侵攻し、丙子の乱が勃発する。すご腕の弓士、ナミ(パク・ヘイル)は父の死後、妹ジャイン(ムン・チェウォン)と身をひそめるように暮らしてきた。そんな妹の結婚式当日、新郎新婦が清の精鋭部隊に捕らえられる。ナミは父の残した神弓を手に清の10万の大軍に突撃。そして、次々と敵を倒すナミに対して、清の弓のスペシャリストである猛将軍ジュシンタ(リュ・スンリョン)が立ちふさがり……。
この韓国映画「神弓-KAMIYUMI-」は、アクションに次ぐアクションで息つく暇もないほどの迫力の、”弓”対決が堪能できる傑作だ。 鉄砲が登場する前は、刀や槍が主要な武器だったはずだが、この映画では何と弓矢が主役の座に踊り出た。 この作品は、韓国映画の大ヒット作で、主演のパク・ヘイルがその年の韓国国内の映画賞において、主演男優賞を総なめにしたことでも話題になりましたね。 1636年に実際に起きた清と李氏朝鮮との戦い「丙氏の乱」に材を取り、結果的に清軍は、多数の朝鮮人を捕虜として連行したというが、この映画では李氏朝鮮の「神弓」の名手(パク・ヘイル)と清の「長弓」の名手(リュ・スンリョン)が、正面から対決する。 それでも最後は「神弓」の勝利に終わることから、韓国人のナショナリズムを相当、刺激したに違いありません。 韓国で2011年度の興行成績ナンバーワンを記録したのも頷けます。 とにかく、この映画は冒頭からアクションに次ぐアクションの連続で、のんびり構えている暇はないのです。 特に後半は、キム・ハンミン監督の畳み掛けるような演出で一気に見せるのですが、クライマックスはもちろん「神弓」対「長弓」の戦い。 ちょうど西部劇の拳銃が、弓に取って代わったようなもので、これでもか、これでもかと双方が死力を尽くすんですね。 そして、その迫力たるや、まるで弓が画面の中から観ている私の方へ飛んでくるような錯覚に陥り、思わず首をすくめることもしばしば。 これは、やはり今はやりのCGに頼らず、高速度カメラで矢の軌跡を再現する、高度な技術力の勝利と言っていいだろう。 そして、それは巧みな編集技術と、クロースアップの多用のおかげでもあるのですが、黒澤明ばりのアクションシーンは、十分堪能できましたね。
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