SHORT PEACE
18世紀の江戸。お若は幼なじみの松吉への思いが募り、情念から大火事を引き起こしてしまう(『火要鎮』)。18世紀。小さなほこらで古道具のモノノケに出会った男は、その道具を修理することに(『九十九』)。戦国時代の東北。空から現れた鬼に似た化け物と神秘的な白熊が激突する(『GAMBO』)。近未来、砂漠の廃虚となった東京。戦車型無人兵器と戦っていた小隊はピンチを迎え……(『武器よさらば』)。
八百屋お七伝説を大胆に脚色した恋物語「火要鎮」、人間たちに打ち捨てられたガラクタたちの逆襲が痛快な「九十九」。和のテイストを前面に押し出した最初の2作品から、一気に大友ワールドに引き込まれてしまいました。 雪深い東北の地を舞台にした「GAMBO」は、空高く舞い降りてくる鬼の異様な形相に圧倒されます。その一方では可憐な少女・カオと、無骨な白熊が心通わせていく様子で心温まりますよ。 パワードスーツを装備した傭兵と自らの意志で動く戦車とのバトルを迫力満点に描く「武器よさらば」は、このオムニバス映画を締めくくるのには相応しいです。砂漠の中の廃墟と化した近未来の東京の街並みには、大友監督の代表作「AKIRA」を思い出してしまうでしょう。 4つの独立した世界観を描きながら、根底に流れる平和へのメッセージは一貫していて揺らぐことはありません。短編では物足りないほど作り込まれたストーリーで、それぞれの登場人物に先祖・子孫の関係があるなどもう少し遊び心があっても良かったのかもしれません。
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