生きる意味に向き合う名作
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年9月29日 17時00分
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総合評価:
5.0
プロテスタントの牧師である主人公の佐伯が拘置所で死刑囚を含む囚人と面会するシーンがほとんどという異色の作品ですが、素晴らしい映画でした。
あらすじや設定からは暗く宗教色の強い映画のように見えますが、実際には(一部のシーンを除き)それほど暗くはなく宗教色も薄いです。
各登場人物が非常に個性的で、暴力団員、おばちゃん、元ホームレスの老人と年齢や生い立ち、罪状も様々ですが、いずれの俳優も熱のこもった快演・怪演です。
また、登場する死刑囚には現実に起こった事件の犯人と思しき思考や特徴を持つ人物もおり、それがある程度のリアルな人間らしさも持たせています。
しかし、最も印象的なのは主人公の佐伯で、拘置所での面会を通して自分自身の過去や罪、生きる意味に向き合っていく姿や、彼が絞り出すように話す言葉には心を打たれます。
ただ、はっきりとしたメッセージを見せる作品ではないため、鑑賞者自身が自分なりに考え、考察する必要もありますが、同時に唯一無二の迫力を持つ映画でもあり、見終わった後は前向きに生きていこうと思える作品でもあります。