優しさがあるがテーマはヘヴィー
2021年2月14日 13時58分
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総合評価:
4.0
「ギルバート・グレイプ」「僕のワンダフルライフ」などこの手のものが得意なラッセ・ハルストレム監督が手掛ける爽やかな良作。
事前情報がなにもなく見ました。オープニングの列車のシーンから何となくよさそうな雰囲気がある印象に「おっ、良い映画かも」と思ったのですが、ストーリーが進むにつれ孤児院での事、堕胎、宗教、暴力など、これでもかと思うような重い話のオンパレードにジワジワと心がやられていきました。
それでも何故だかちょっとした爽快感が残るが不思議な映画です。それは木々の緑、太陽、リンゴの果樹園などの綺麗な景色と優しい音楽によって美談へのカタルシスへと昇華されているレトリックに包まれている、もしかしたら監督の意図していることが散りばめられている演出であるならお見事ですね。
ラーチ先生はバッドマンビギンズで執事役をやったマイケル・ケインですが、この人こういう癒し系の役どころってはまっていますね。今回も本当に懐の深い、温かい気持ちと大きな人間性の器が見て取れる演出が見事にはまっていました。
日々いろいろな嫌なこと、ヘヴィーな事が孤児院で起きるのですが、それでも子供達はラーチ先生に支えられながら健気に生きていきます。ラーチ先生の優しい嘘や孤児院の子供達の素直な心持ちに感動する映画です。「おやすみなさいニューイングランドの王子」というセリフがとても優しくて素敵です。
しかしながら良作であるとは思うものの、内容やテーマが重たい分2回目を観ようという触手はちょっと動かないですね。でも1回は見る価値がありそうですね。アカデミー賞もこれなら頷けます。