「グリーンブック」の意味に切なくなりました。
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年8月8日 22時16分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
グリーンブック。どのような本なのだろう、と物語を観ていましたが、黒人用旅行ガイドのことをグリーンブックと言うのですね。どれだけ黒人が差別されていたのかを改めて知りました。
主人公トニーは、物語の冒頭で自宅の工事に来た黒人の男性二人組が使ったコップをこっそり捨てます。それに気づいた妻のドロレスはそっとコップを拾い上げます。このさりげないシーンだけでもキツくなりました。
ピアニストのドクターの用心棒兼ドライバーとして雇われるトニー。トニーとドクターは性格も価値観も正反対です。お金のために渋々仕事をこなすトニーですが、次第にドクターとの絆を深めていきます。
ある日のツアーでは要望していたピアノとは違うピアノが用意されていたり、小さくて狭い控え室に通されたり。ひどい仕打ちの数々にあんまりだなと思いました。
しまいには、「この土地のしきたりだから」との一点張りで、黒人のドクターだけレストランで食事をとらせてもらえない目にも遭います。ドクターはここでの演奏を取りやめ、黒人でも入れるバーへトニーと行き、そこでピアノを弾きます。悲しいシーンではありましたが、二人でバーへ行ったところに少し救われました。
最後、すべてのツアーを終えた後にトニーの家へドクターが行くシーンで何度観ても泣いてしまいます。
ドクターとの出会いでトニーの黒人への差別意識がなくなったことに気がついたドロレスはひそかに喜びます。そして、ドクターの来訪を大歓迎します。
エンドロールでは実際の二人の友情が一生続いたという説明がなされていて、また泣けてしまいました。
観ていて辛くなる場面は多々ありましたが、二人のやり取りはユーモラスで楽しいです。
優しい気持ちになれる映画でした。たくさんの人たちにおすすめしたいです。