差別がテーマと思いきや。。。
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年8月11日 13時18分
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総合評価:
5.0
感動したい!と思っている人は必見の映画です。何度見ても泣けます。
差別が表向きのメインテーマですが、みどころはアイデンティティや友情の育み方かなと思います。アメリカでは様々なルーツを持っている人がいる分、それぞれの特徴に当てはめてられて見られがちです。映画の中でトニーはイタリア系アメリカ人、ドンは成功した黒人かつゲイというアイデンティティを強く意識しています。
感動的なのは、そのアイデンティティの殻を二人が破って打ち解けていく様。最初は正しい英語を話し、クラシック音楽にこだわるドン、そして黒人に対する嫌悪感を抱いているトニー。それが、最後のバーのシーンでは、「スタインウェイでしか演奏しない」と言っていたドンが黒人専用バーにある古いピアノで演奏を始め、トニーに黒人英語で話しかけます。トニーもアメリカ南部でのひどい差別を目の当たりにして反発を覚え、ドンの才能を素直に認めて敬意をはらいます。差別をテーマにした映画は、白人が悪で黒人が耐え忍ぶ役割を演じたものが多いですが、ここでは二人とも長所と欠点を抱えて葛藤しながら交わっていく、というのが他の映画と少し違う点かなと思います。差別ものは気が重くなるからなあと躊躇しちゃう人もこの映画なら見られるのではないでしょうか。
ちなみに、エンディングでトニーの奥さんが放つ一言がまた最高の涙を誘います!