とにかく不条理
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年8月9日 11時45分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
どこかで予告を観てから気になっていたこの作品、早速鑑賞してみました。
ストーリーはシンプルかつ不条理の連続。なぜこのカップルだったのか。子供がいないから?あの子供は何?この町なんなの?と、???だらけで???のまま終わることになります。
メインに描かれているのは不満があれば金切り声を上げ続ける子供を育てること。このタイトルと托卵を思わせる鳥の映像から、子育てがテーマになっているとは安易に想像できます。
気が狂わんばかりに腹が立つ子供を育てなければならない不条理。かわいくてシンプルな街並みの美しさとは真逆なカオスな生活。なぜの説明は一切ありません。退屈に退屈を重ねてくるので主人公たちも観てる側も地獄を味わうことになります。それが特徴の稀有な作品だと言えると思います。
ネガティブな側面だけをぎゅぎゅっと濃縮してお届けされるので、胸糞で最悪な作品だという声が多いのもわかります。
しかしあの子供が国家のような存在で、支給される必要最低限の暮らし、家事・子育てを担う=労働、体調が悪くても薬が支給されず医療も受けられない=貧しいといったところに実は現代の社会の縮図が描かれているようにも感じられ、最後は育てた子供にあっさり捨てられるというのがまたゾクッとさせられます。
現代社会に生きる救いようのない悲哀が込められているよう。
これだけのことをあのシンプルな地獄ストーリーに込めているとしたら恐れ多い作品です。