映像が美しく、切ないストーリー
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年9月9日 07時27分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
なんと言ってもまず俳優達のビジュアルの良さと映像の美しさが特徴的だと思う。
感覚的に言えば絵画や小説をみているのと同じような「ずっと見ていられる」感覚の映像だった。
主人公の「現在」と「過去」がグルグルと場面転換するため、映像慣れしていない人は少し大変かもしれない。
主人公が冒頭でも言うが、正直に言って観た後すぐに「面白かったね!!爽快感が凄い!!」とはならないが、落ち着いた気分でこれから先の自分の人生を大切に生きようと思えるような作品である。
アレンの短い夏の思い出。だけでは終わらない、これから先の人生はどのように歩むのか。ダヴィドの言う「墓の上で踊れ」その本当の意味はなんなのか。なぜ突然別れると言い出したのか。「重い」と言ったのは嘘か誠か。
全てが明かされることはない。アレン主体で進んでいく物語は、その真意を知る術がないからである。
視聴者はアレン主体で映像を捉えながらも、第三者(神のような位置)からストーリーを見ていくため、なんとも不思議な気分になった。
また、私が素晴らしいと感じたのは「音楽」である。作中に流れるダンスシーンでの音楽をきっかけに墓の上で踊るミュージックがあり、また、エンディングでは「これはダヴィドの気持ちなのか?」と思うような歌詞がある。
映像、心情、音楽、思考全てを刺激する作品。
他人と言ってワっ!と盛り上がる作品とは言えないため、個人的には1人で見に行ってまったり過ごしたいような時におすすめでした。
また、1部ダンスシーンにてフラッシュが炊かれるため、そういった刺激に弱い方は注意してください。