心に直で響き渡る監督の超必殺の手練手管にまんまとやられる力作
2021年8月4日 15時20分
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総合評価:
4.0
細田守監督が新たなレベルに達したと感じさせる力作。物語的には弱い感じが否めないが、決して不出来ではなく、心のより深い部分に響かせる作りなのである。
主人公の家庭の設定からして既に素直には飲み込めないようになっており、明らかに意識的にそのように作られていることがわかる。
主人公の女子高生・「すず」がいかにしてそれを会得してゆくのかが、本作の主題であるのだが、仰々しく台詞でそれらを語らせたりはせず、一見関連のないエピソードの組み合わせや、非常に美しく雄弁な情景描写により間接的に感じ取れるように出来ている。
非常に泣けるところもあり、こんなん絶対泣くだろと思える程のある意味あざとい描写を冒頭から惜しげもなく投入してきていて、監督の手練手管に悔しいと思う間もなくまんまと乗せられてしまう。
もちろん、クライマックスには超熟練の超大物の必殺ボイス&郷愁を400%誘うに決まっているベッタベタシチュエーションのスーパーコンボで「ここで泣かねば帰らせん‼」と全ての観客を殺しにきます。