子どもに見てほしい、夏のジュブナイルホラーの名作
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年8月31日 14時22分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
どの媒体の作品も年を取るにつれ、受け取り方が変わってくる。
特に恐怖という感情は、何度も繰り返すと慣れてしまう。
子どもの時だからこそ感じるものがこの映画にはある。
映画は終業式から始まる。
家に帰ってこない妹を心配した姉が他の子どもたちと旧校舎で探すというのがメインストーリーなのだが、この映画の良いところは子どもたちがメインにも関わらず、子どもたちだけの話で終わらないことである。
子どもを心配する親たち、先生の話が随所に差し込まれ、子どもたちを取り巻く環境を描写することで、キャラクターと物語に奥行きを与えている。
さらに、当初喧嘩ばかりしていた子どもたちが、ひと夏の経験を積み、共に困難を乗り越えることで仲良くなるというジュブナイルものとしても楽しめる作品である。
当時の学校の怪談ブームを受けて制作された映画だけに、子どもたちの間で流行していた妖怪たちが映画の中で随所に盛り込まれているので、魅力のある妖怪たちも見どころの一つだ。
学校の怪談のサブキャラで本編に関わりがあまりないにも拘らず、必ず登場することになる花子さんや、テケテケ、人面犬など当時の子どもたちの間で人気があったことを覚えている。
怖いけれどユーモラスで、映画を見ている時は怖がっていたのに、学校に行けば友人たちと笑って遊びの一つとしてネタにしていた。
怖いだけではない魅力的なキャラクターに夢中だった。
他作品だとどうしても演技に違和感を覚えてしまう子役たちの演技も、この映画では大人にひけをとらず、自然体で生き生きとしている。
その理由は、パンフレットの監督インタビューで語られていて、「台本に書かれたセリフは道しるべでしかない」と、子どもたちがいつも使っている言葉で、台本の台詞を監督が言うように指示していたという。
更に、インタビューの中で続編を作ることは難しいと監督は語っていたが、学校の怪談は4まで続く人気シリーズとなり、自身は2と4の監督として制作に関わることになった。
イメージワード
- ・楽しい
- ・笑える
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