脚本だけでここまでやるか!?という力業に感動
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年6月25日 11時41分
役立ち度:0人
総合評価:
5.0
低予算ながらもほぼシナリオで持っていかれたような作品です。とにかく先が気になる、面白いと感じさせる力があります。
もともとはうだつの上がらない夫が、妻の狂言誘拐を計画し、義理の父親から金を集めようとしたことがきっかけでした。
その狂言誘拐に一枚噛ませた奴らが、とんでもない脳みその持ち主だったため、事件はあり得ない方向へねじ曲がっていきます。
その捜査を担当する警察官は、妊娠中の女性刑事ということもあり、何かあったら大変ということも観客をハラハラさせる要因です。お腹を大きくしながら犯人に事情聴取するところなどは、見ていてヒヤヒヤします。
本当に小さな出来心で起きた犯罪が、とてつもない大きな猟奇犯罪になっていく様子は、笑えるところもありつつ、怖すぎる部分でもあります。
小さなミスを隠している内に、肝心のモノを失ってしまったような印象を受けます。しかし、誰もがこういったことはあるのではないでしょうか。
まずは小さいウソは良くないです。大きいウソをつくハメになります。
このような結末を迎えたくなければ、身の丈にあった計画をするべきです。
スティーブ・ブシェミという「変な役をやらせたらうますぎる」という役者も登場し、さらに物語をややこしくしています。
自分が罪をかぶりたくないあまり、モーテルに隠れているラストなどはどうしようもない人間の悲しさを感じさせるものです。
人間のあさましい部分や、立ち向かう勇気がない悲哀をコーエン兄弟に描かせたら天下一品です。
近年はついにシーズンドラマ化されました。ファンとしては嬉しい限りです。