ファーゴの豆知識・失敗談

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  ファーゴ

  1996年11月9日 上映 / アメリカ / 98分

  4.2/5.0

  2件

  　アメリカ中北部の田舎町を舞台に、偽装誘拐が引き起こす惨劇とそれに関わる人々の奇妙な姿を描いたユニークな犯罪ドラマ。 　ミネソタ州ミネアポリスに住むカー・ディーラーのジェリー・ランディガード（Ｗ・Ｈ・メイシー）は借金返済のために自分の妻ジーンを誘拐し、会社のオーナーでもある義父から身代金をいただこうと考えた。誘拐を実行するのは、前科者の従業員から紹介された妙な二人組、カール（Ｓ・ブシェミ）とグリムスラッド（Ｐ・ストーメア）。だがジーンを自宅から誘拐した二人は、隣町ブレイナードまで逃げたところで、停車を命じた警官と目撃者を射殺してしまう。ブレイナードの女性警察署長マージ・ガンダーソン（Ｆ・マクドーマンド）は事件を追ってミネアポリスに赴くが、その間にも狂い始めた誘拐計画は次々と犠牲者を産んでいく……。 　コーエン兄弟はその特異な作風で知られる、８０～９０年代アメリカ・インディペンデント映画界の雄だが、この作品はその真価がもっとも発揮された一編と言っていいだろう。実話を基にしているとはいえ、ほとんどは創作だというストーリー自体の面白さももちろんだが、個々のキャラクターのおかしさとさりげなくも効果的な台詞の数々は、ドラマの完成度を極限まで高めている。雪に覆われた白い町で起こる血みどろの物語。まさに“白のフィルム・ノワール”と呼んでもいい。カンヌ映画祭で監督賞に輝いただけでなく、アカデミーでは主演女優賞と脚本賞も獲得した逸品。

豆知識・トリビア

• 豆知識・トリビア
  ウィリアム・H・メイシーは、ジェリー・ルンデゴーの役を監督に懇願しました。彼は2回朗読をして、その役には自分が最適だと確信しました。コーンズ (ジョエル・コーン・アンド・イーサン・コーエン) が連絡をしないと、彼はニューヨーク (作成を始めていた場所) へ飛び、次のように言いました。 「あなたがこの役を他の誰かに託し、この映画を台無しにしてしまうのではないかと、とてもとても心配している。僕のにこの役を与えないならお前の犬を撃つ」と。彼はもちろん冗談で言っていました。
• 豆知識・トリビア
  ジョエル・コーエン監督は、演技しやすくさせる目的で、マージ役のフランシス・マクドーマンドとノーム役のジョン・キャロル・リンチに、あるお願い事をしました。それは、他ならぬノームとマージのバックグラウンド・ストーリーを2人で作ってくれという内容でした。そこで、マクドーマンドとキャロル・リンチは、次のような話にしました。「まず、ノームとマージは警察官として勤務しているときに出会う。次に、結婚の際、どちらかが、自ら進んで仕事を辞めなければならない。仕事はマージのほうが優秀だったので、ノームが辞める。そして、ノームは絵を描く」と、これらが、マクドーマンドとキャロル・リンチの、合作バックグラウンド・ストーリーです。
• 豆知識・トリビア
  作中人物のカール・ショウォルターは、俳優スティーヴ・ブシェミのはまり役になるように書かれました。
• 豆知識・トリビア
  俳優のウィリアム・H・メイシーは、インタビューの中で、アドリブはほとんどしなかったと述べました。この発言に対する反証はあるものの、本映画での、H・メイシーの、どもり癖の演技の多くは、脚本に書かれたものとまったく同じです。
• 豆知識・トリビア
  作中のゲア・グリムスラッド（俳優ピーター・ストーメア）は、会話の中で18回しゃべります。その際、1回につき2文以上しゃべることはありません。これとは対照的に、カール・ショウォルター（俳優スティーヴ・ブシェミ）は、会話の中で150回強しゃべります。
• 豆知識・トリビア
  本映画の30分あたりで、ゲア・グリムスラッドが、目撃者の車を追いかけます。その際、「Jävla fitta！」と言うのですが、これは、スウェーデン語で「クソ女！」を意味しています。ゲアを演じた俳優のピーター・ストーメアは、スウェーデン人です。

ネタバレ有り

豆知識・トリビア

• 豆知識・トリビア
  本映画は、「実話に基づいた」作品ではありません。脚本を書いた2人、ジョエル・コーエンとイーサン・コーエンは、本映画公開後に、そのことを認めました。それでようやく、視聴者は、虚構と現実を取り違えなくなったようです。（都市伝説によれば、人々は、お金の入ったブリーフケースを求めてミネソタ州まで行って、そしていつまでも探している、とさえ言われています。）さて、現実に、映画に見られるような犯罪は起こらなかったものの、脚本の下敷きになった犯罪として、その有名事件が、ミネソタ州に2つあります。1つ目は、殺人未遂事件です。1962年、セント・ポールの弁護士、ユージーン・トンプソンが、人を殺してほしいと、ある男に持ちかけました。殺される予定の人は、トンプソン自身の妻、キャロルです。一方、その頼まれた男は、トンプソンに知らせずに、同じようにまた別の男に、この殺人話を持ちかけました。その後、頼まれた2人目の男は、トンプソン夫人（キャロル）の家で致命傷を負います。その際、夫人は男を逃がし、その間に、隣近所に助けを求めました。こうして、この事件は、その間抜けさと野蛮さとで、大きな注目を集めます。結局、殺人を頼まれたどちらの男も、すぐに捕まり、トンプソンの殺人計画は失敗に終わります。そして、当のトンプソン自身は、この殺人に何も関与していないと、何年も否定し続けました。2つ目の事件は、身代金がらみの話です。1972年、オロノの裕福な銀行家の妻、バージニア・パイパーが誘拐されました。これに対し、100万ドルの身代金が渡されます。なお、この金額は、米国史上において極めて高いものでした。一方、パイパー夫人は、州立公園で、木に縛りつけられた状態で発見されます。それから、男性容疑者2人に対し、有罪判決が言い渡されました。しかし、再審の後、2人は無罪になります。その後、片方の男が、離婚したあとに銃乱射事件を起こしました。その際、男は、離婚した妻、その妻との間にもうけた5歳の息子、また、その妻の、前の男との息子、さらに、その妻の新しいボーイフレンドと、ボーイフレンドの息子、計5人を殺害します。なお、身代金に関しては、4千ドル回収されただけでした。