素敵な異世界おとぎ話奇譚
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年9月9日 11時30分
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総合評価:
5.0
どこか知らない世界。サーカスのようなギャングが取り仕切る町で、怪力男のワンはミエットという美しい少女と出会います。子どもながらしっかりとしたミエットは、怪力男の弟がギャングに攫われたことを聞いて、取り戻そうと一緒に計画をしてくれるのですが。
フランスが少子化時代に制作された映画で、子供が非常に魅力的に描かれています。街を取り仕切る奇妙なギャング集団は、実は全員クローン人間。暇を見てはボスであるパパに「自分がオリジナルだよね?」と問いかけます。
一方で非常に残酷なシーンも含まれており、カメラで自分の苦しむ様子を見ながら殺されていく者のシーンや、怪力男ワンが洗脳にかかり、ミエットを殺そうとするシーンは迫力があります。
怪力男ワンはジュネ作品の常連、ロン・パールマン。最初は名前を覚えていなくても、顔は絶対に忘れられない怪演技が魅力です。すごくタフそうな身体なのに、困った顔や子どものような狼狽した顔に引き込まれます。
注目したいところは、街全体のファンタジーのような風景です。スチームパンクとサーカスが一緒になったような不思議な空間となっており、この映画への情熱が伝わってきます。個人的にはジュネはずっとこういう作品を作っていてほしかったです。