激流
川下りを楽しんでいた家族が、ガイドを失った見知らぬ逃走中の強盗犯と合流する。彼らは激流の難所を越えるよう妻のゲイルに命じるが……。メリル・ストリープが荒れ狂う急流に挑むサスペンス。
この映画「激流」は、ほぼ全編が本物の川でロケーション撮影されたということだ。 本当にどうやって撮影したんだろうと思ってしまうような迫力あるシーンの連続。 荒々しい水しぶき。全てを飲み込むかのように襲いかかる激流。 ダイナミックな自然描写に目を瞠るばかり。 激流を下るシーンの迫力とメリル・ストリープの頑張りに度肝を抜かれてしまいます。 メリル・ストリープ扮するゲイルは、元急流の川下りのガイドをしていた、川下りの名人という設定ですが、それにしても逞しい。 仕事一筋の夫との仲は冷え切っていて、息子のロークは父のことをよく思っていない。 ロークの誕生祝いに川下りにやってきたものの、夫との関係は修復しがたく---------。 そんな伏線を後半上手く生かしているのも実にいいんですね 頼るべき存在であるはずの夫は頼りにならず、幼い息子と2人で本性を現した、ケヴィン・ベーコンらの悪漢に立ち向かうゲイル。 とにかくメリル・ストリープが、往年の透明感溢れる美しさはどこへやら、太い腕を剥き出しにして、「エイリアン」のリプリーに引けを取らない活躍で頑張る、頑張る。 恐れ入りますの一言。 不敵な面構えのウェイドを、主役を食ってしまう程の存在感を身に付けたケヴィン・ベーコンが、これまた憎らしいくらい、うまく演じている。 息子役の少年も可愛いし、巧い。 「ジュラシック・パーク」でティムを演じた子。 夫であるトムが、少し影が薄いのが残念な気がします。 演じるデヴィッド・ストラザーンは、オールマイティな役者で、作品ごとにガラッとイメージが変わる役柄の幅が広い俳優。 もう少し活躍の場があっても良かったのではないかと思いますね。 激流下りという本筋に、アメリカ映画お決まりの夫婦の崩壊というテーマも描かれているわけですが、本筋にうまく練りこまれていて、サスペンス要素を盛り上げていて実に素晴らしい。 惜しむらくは、心理的なやり取りがもう少し描かれていれば、夫の存在も生きてきて、より一層、この映画に深みが増したのではないかと思いますね。
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