マシンガン・パニック
MWA賞の最優秀長編賞受賞の世界的なベストセラー小説「笑う警官」の舞台をサンフランシスコに移して映画化した作品が、この「マシンガン・パニック」。 この映画「マシンガン・パニック」は、ペール・ヴァールーとマイ・シューヴァルのおしどりコンビによる、アメリカの推理小説の最高賞と言われる、MWA賞の最優秀長編賞を受賞した、我々ミステリー・ファンにはお馴染みの"マルティン・ベック"シリーズの「笑う警官」という世界的なベストセラー小説の映画化作品だ。 この映画が日本で公開された1970年代半ばは、パニック映画の全盛期で、この映画もそうした時代の風潮の中で、原作の内容とはほとんど関係のないような、「マシンガン・パニック」というとんでもない題名が配給会社によって付けられたという背景があります。 原作は、冬のスウェーデンのストックホルムで起こった謎のバス乗客虐殺事件を、マルティン・ベックを初め、数人の刑事がコツコツと地道に調べ歩き、意外な人物を真犯人として逮捕するという捜査的な興味を加味した推理小説ですが、トーマス・リックマンがシナリオ化して、「暴力脱獄」「ブルベイカー」のスチュアート・ローゼンバーグが監督したこの映画は、中年の2人組刑事の足による追求に重点をおいて、いかにもアメリカ映画らしい捜査ドラマに作り変えられています。 そこが、この映画の面白さであると同時に、弱点にもなっているような気がします。 原作の舞台であるストックホルムをサンフランシスコに置き換え、主人公のマルティン・ベックは、ジャック・マーティンという名前に変えられ、「おかしな二人」などの喜劇で名をあげた、ウォルター・マッソーが扮して、いつもの彼とはうってかわった、渋い演技を見せています。 そして、彼とコンビを組むレオ・ラーセン刑事に扮しているのは、「ヒッチコックのファミリー・プロット」のブルース・ダーンで、ユーモラスな味を出してなかなか良い演技を見せています。 サンフランシスコの街を走るバスの乗客8人が、マシン・ガンで皆殺しにされるという事件が起こります。 その乗客の中に若手刑事のエバンスがいた事から相棒のマーティン刑事は、この事件の捜査に執念を燃やし、新しい相棒のラーセン刑事と共に、サンフランシスコの暗黒街を調べ始めます。 ギャンブラーの巣窟、ポルノ劇場、ゲイ・バー、安宿、料理店などの光景が次々と画面に浮かび上がって来て、捜査映画特有のドキュメンタリー・タッチの迫力ある臨場感が感じられます。 地味でヤボったくておよそ風采のあがらない四十男だが、鋭い勘の持ち主であるマーティン刑事。 ベテランでタフだが、ぶっきら棒でいたずらっぽく、少々単純なところもあるラーセン刑事。 この2人のコントラストにも、ある意味、"バディ・ムービー"らしい面白味があります。 殺されたエバンス刑事がなぜこのバスに乗り合わせていたのか? その事に疑問を抱いたマーティン刑事は、調査の結果、エバンズが数年前の未解決事件の捜査を密かに続けていた事を知り、その事件とバス乗客虐殺事件との間に、何らかの関連性があるのではないかと、考えるようになります。 この2つの事件を繫ぐ線。その線を辿って行くと、あっと驚く、意外な事実が明るみに出て来ます。 果たして真犯人は何者なのか?--------。 原作の小説が、刑事の群像に重点を置いて、描き分けていたのに対し、映画はもっぱら2人の刑事の行動に焦点を絞り、拳銃の撃ち合いや追いつ追われつのカー・アクションなど、原作には書かれていない、より映像的な設定を織り込んだ捜査劇にしています。 だから、原作の持つ味わいを期待すると当てがはずれますが、これはこれで、見応えのある刑事映画になっていると思います。 それにしても、主演のウォルター・マッソーという俳優は、お世辞にもハンサムとは言えない風貌ですが、そのマーティン刑事という中年男の仕事と家庭の問題で悩むという人間味も垣間見せながら、捜査に執念を燃やす中年男を軽妙な中にも、激しい憤りの感情を内に秘めて演じる彼の演技は、本当に素晴らしく、まさに名優中の名優だと思います。
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