『キング・オブ・ニューヨーク』(1990)、『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』(1992)などの鬼才アベル・フェラーラが2019年に発表した作品。20年以上ローマに暮らすフェラーラ監督が自身の生活をウィレム・デフォー演じる主人公に重ね合わせて描くパーソナルな1本。主人公の妻と娘を演じているのは実際のフェラーラ夫人のクリスティナ・チリアックと娘のアンナ・フェラーラ。第72回カンヌ国際映画祭でプレミア上映され、リスボン&エストリア映画祭2021で審査員特別賞を受賞。世界的に知られるアメリカ人アーティストのトマソは、妻ニッキと3歳の娘ディディとともローマで暮らしている。プライベート・レッスンでイタリア語を学び、家事や育児も積極的にこなす彼は、映像作品の脚本の執筆を続けながら、演劇学校の演技指導を行っていた。また、酒とドラッグに溺れた過去の失敗を繰り返さないために依存症セラピーに通い、仏教に傾倒して瞑想にも余念がない。だが、最近彼は考えや会話が噛み合わない若い妻との生活に不満を感じていた。創作も思うように進まず、彼の精神は徐々に崩壊していく…。
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