映像美!
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年8月18日 18時36分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
言わずと知れた泉鏡花の原作を、吉永小百合と加藤雅也、中井貴一ら豪華キャストで映像化した本作。
泉鏡花の作品といえばロマンティシズム、一般の人には理解されがたいようなロマンチストでもあるが、それが映像美として存分に発揮されていた。そうまさに映像美!
中井貴一さん演じる役はどちらかといえば視聴者よりの視線を辿るが、その視線の先に映る加藤雅也さんと吉永小百合さんの美しさと言ったら…言葉で表すなんて烏滸がましいほどの美しさだ。こんなにも儚く純粋で美しい存在があるだろうか。泉鏡花の世界観にぴったりと合うキャスティングが素晴らしい。
物語としても特に大きくプロットを変えたわけではないが、個人的に一点気に入らない点は、川を挟んで吉永小百合さんと加藤雅也さんが一度遭遇しているという描写である。これはなくてもよかったのではないかと観るたびに考えてしまう。
だがそれを含めても泉鏡花作品の幻想性がきちんと映画に落とし込められていて、観ていてとてもうっとりする作品であった。
最後に、加藤雅也さんのデスマスクが最高峰の美しさであることも付け加えておきたい。