反逆のメロディー
淡野組の解散で一匹狼となった男・哲が、とある新興都市に現れる。収監中の腹違いの兄・立花にかわって、哲は立花組を押さえている矢東会と対立。そんなある日、淡野が関東の暴力組織を解散させるためにやってくる。そして各組織が解散を表明していく裏で、ある陰謀が動き出していた。
この映画「反逆のメロディー」は、原田芳雄が体現した1970年代の無頼派の鮮烈な青春像を描いた作品だと思います。 この映画は、日活ニューアクション映画の決定打とも言うべき傑作中の傑作で、澤田幸弘監督の2作目の作品だ。 この物語の主人公は、ヤクザの元幹部でドロップアウトした哲(原田芳雄)。 長髪にサングラス、デニムのブルージーンズの上下。 くわえ煙草で胸を無雑作にはだけ、かっこ良くジープを乗り回す原田芳雄が、ぶっきら棒で凄みのあるセリフ回し、全身が尖った鋭いナイフのような、圧倒的な存在感で、当時の無頼な青春像を体現していて、実に素晴らしい。 また、悪徳刑事役の青木義朗もシブくて、えげつないキャラを実にうまく演じていると思う。 かつて原田芳雄が「まず組織をぶっ壊して、物語を始めようというアナーキーさ。それが1970年の荒ぶる時代の気分だった」と語っていたように、主人公がアンチ・ヒーローなのは、私の心の中にも、カッコいいことは絶対恥ずかしいという気持ちがあり、フィクションであるこの映画に、時代のドキュメンタリー性を感じ、大いに共感出来るのだ。 この映画は、青春時代の特徴である、"孤独と焦燥感"を抱えた若者たちの無軌道な行動、反権力的な気分の遊戯精神が叩き込まれた、"日活ニューアクション映画"の代表作であり、金字塔的な作品だと思う。 この映画は、渡世の義理、仁義、作法といった、それ以前のヤクザ映画に必要不可欠な要素を全て無視しながらも、完璧な娯楽映画として成立させていて、今この映画を観ることで、あの頃の時代の空気感、匂い、緊張と恐怖と、ある種の恍惚感を感じとることが出来る、そんな映画なのだ。
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