80年代ですでに高齢化社会を示唆するような内容
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年8月21日 09時39分
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総合評価:
4.0
80年代にすでに高齢化社会の問題に触れていたとは、先見性のある映画と言えるでしょう。人種差別がまだ残る1948年アメリカ南部で、豪富でありながらオールドミスのデイジーは、ドライバーとして男性の使用人を雇います。実はその彼が黒人・ホーク。ホークは優しくデイジーに接しますが、気位の高いデイジーはそれを突っぱねてしまいます。ところが、次第に気難しいデイジーはホークを信頼するように……。
デイジーの時代では結婚していない、というのは大きいハンデ。しかも黒人はまだ差別が根強い時代です。そんな時代で出会った白人と黒人のふたりが、ゆっくりとではありますが確かな友情を結ぶまでが描かれています。
注目したいポイントは、高齢のデイジー女史がドライブ途中にあちこちわめいて指示を出したり、ミスしたりを重ねるところです。彼女は他人に注意されるのが大嫌い。それゆえにドライブの指示ははちゃめちゃになってしまい、運転手ホークを困らせます。コミカルに描かれているドライビングシーンが、ふたりにちぐはぐさをよく出していて、あったかい笑いが生まれるところです。
高齢者施設に入居するようになったデイジーですが、ホークが彼女を訪問し、「あなたは私の一生のお友達よ」とデイジーが痴呆症にかかりながらも伝えるシーンは、胸にぐっとくるものがあります。これが89年に制作されていたことにも驚きです。