映画ポップコーンの評価
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"名匠エリア・カザン監督が1920年代のアメリカ中西部を舞台に、青春の愛と性の苦悩を描いた「草原の輝き」" 恋人に捨てられ精神錯乱になった彼女が、鏡の前で髪を切る。 教室でワーズワースの詩を読まされた彼女が、詩の途中で泣き崩れる。 いつも白い清潔な服を好んでいた彼女が、恋人に捨てられた後、急に赤い服と赤いネックレスを身につける、そして大人になって幸福な結婚をしてからは再び白いドレスと白い帽子に戻っていく------。 この映画の公開当時、23歳だったナタリー・ウッドは、本当に綺麗でした。決して幸福なヒロインとは言えなかったが、それが逆に彼女の美しさを引き立てたと思います。 同じ子役出身の美人スター、エリザベス・テイラーも「愛情の花咲く樹」で精神異常になるヒロインを演じて演技開眼したと言われていますが、それはこの映画のナタリー・ウッドにも言えると思います。 ジェームズ・ディーンと共演した「理由なき反抗」に出演した時のナタリー・ウッドは、高校生の可愛らしさだけでしだが、この「草原の輝き」では、10代から20代への大人の成長を瑞々しく演じて、それまでの可愛らしさに落ち着いた美しさが加わって、惚れ惚れする程の魅力に溢れていると思います。 このイギリスの詩人ワーズワースの詩句からとった「草原の輝き」という映画は、1920年代後半のカンサス州の田舎町を舞台にして始まります。 高校生のナタリー・ウッドとウォーレン・ベイティは愛しあっていますが、小さな田舎町の古い因習や厳格な家庭のモラルに縛られ、自由に自分たちの気持ちをぶつけ合う事が出来ません。 「欲望という名の電車」「エデンの東」のエリア・カザン監督は、この1920年代の不幸なラブ・ストーリーを重たく、重たく撮っているような気がします。 エリア・カザン監督は、「欲望という名の電車」や「ベビイドール」を見てもわかるように、人間のアブノーマルな関係を重視する監督だけに、この映画でも、石油事業にしか関心のない俗物の父親や、フラッパーな姉、窓からいつも隣人たちの生活を盗み見ている老嬢など、"屈折した人間"を主人公の周りに配して、"重苦しい田舎町の青春"を描いています。 しかし、そうした重苦しさを若いナタリー・ウッドの肉体が、見事に裏切り、より"健康的な青春映画"になっているのが、我々観る者にとっての救いになっているような気がします。 アメリカ中西部の田園風景が美しいのと、大恐慌の打撃が描かれるなど、アメリカ現代史の一断面がうかがえるのも見どころになっていると思います。 この映画の原作は、「ピクニック」「バス停留所」のウィリアム・インジ。映画ファンとしては、主人公二人の同級生役でサンディ・デニスが、そしてウェイター役であの「レイジング・ブル」のモデルとなったジェイク・ラモッタが出演していたのが懐かしく感じました。
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