当時は珍しかった精神疾患者との交流物語
このレビューにはネタバレが含まれています
2020年9月9日 11時18分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
いざ遺産を継ごうとしたら、自分には知らない兄がいた!しかもその兄は、サヴァン症候群。遺産を騙し、もらい受けるには簡単なはずだった……。
主人公のダメディーラーの弟をトム・クルーズ、サヴァン症候群でわがままな兄をダスティン・ホフマンが演じる、最後にはちょっとほのぼのしてしまう映画です。
主人公は父の遺産を奪うため、施設から病気の兄を連れ出しますが、当時はサヴァン症候群の症例が今ほど認知されているわけでもないので、あちこちでトラブルを起こします。そのたびに振り回される弟。
それを知らずあちこちで自分の好き勝手な行動をとり、施設に帰ろうとする兄。
最初はこのデコボコの関係が笑えてくるのですが、それまで施設に帰ると言い張っていた兄はやがて弟の存在を大切に思うようになるあたりから、心がぐっとつかまれます。
しかも、兄は遠い昔に弟を熱い風呂につけてしまったことをトラウマとしており、道中で弟がバスタブにお湯を入れたときに、トラウマが出現してしまいます。
「弟が!赤ちゃんが!」と叫ぶ兄に、初めて弟は兄の愛を感じたのです。
最後はやはり施設に戻らねばならない兄ですが、ただ「施設に帰る」のではなく「弟と一緒に施設で暮らす」と言い出します。
サヴァン症候群になっていても、彼は弟を忘れず、ずっと守らねばならない存在だと思っていたというあたりが、泣けて泣けてたまりません。
まだ若いトム・クルーズはチャラ男を演じていますが、最後のシーンになると兄思いの弟となる演技を見せるのも良かったです。ハートフルな映画でした。