駆けつけた浪士が旅費に見えてしまう内蔵助
このレビューにはネタバレが含まれています
2021年1月23日 17時22分
役立ち度:0人
総合評価:
4.0
討ち入りまでの予算をやりくりするうちに何をするにしても予算のことが気になっていく内蔵助が面白い。江戸からはるばる駆けつけた浪士の頭上に〇〇両と出た時は笑ってしまった。
忠臣蔵を予算の面から描いた作品で、吉良を討つと決めたのはいいがそれには莫大なお金がかかることが分かり岡村隆史演じる勘定方・矢頭長助らと堤真一演じる大石内蔵助の決算に向けての戦いの日々が始まる。
忠臣蔵と聞けば切腹覚悟で主君の仇を討った浪士たちの心情が中心になるイメージを持つが、その裏側の現実的なお金の問題に焦点が当てられていている。矢頭が関西弁でサラッと「そんな予算ありまへんで」と言うなど、シビアな問題だがコメディタッチに描かれているので楽しく見ることができた。
いよいよ討ち入りの日を決める時には内蔵助の頭の中の残金メーターがフル回転する。画面に予算の残金が表示され、浪士らの意見によって残金がマイナスになったりプラスに戻ったりする演出はとても面白くて、今までにない新しい忠臣蔵だと思った。この予算で討ち入りできるのか、できないのか―。
ただ面白く描かれた忠臣蔵の作品というだけではなく、忠義を貫こうとする武士の姿を見ることもできる映画だった。