SF映画の傑作「2001年宇宙の旅」の続篇
2024年2月16日 15時10分
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総合評価:
3.0
我々映画ファンを魅了したSF映画の傑作「2001年宇宙の旅」の続篇が、この映画「2010年」だ。
厳密に言えば、続篇というより解決篇だろう。
スタンリー・キューブリック監督による前作は、物語性を極度に排し、素晴らしい映像のシンフォニーで、独自の宇宙哲学を伝えたものだった。
何より、真理の判断を観る者自身のイマジネーションに委ねたところが、我々の興味を嫌が上にもかき立てたのだ。
それに対して、この娯楽職人監督のピーター・ハイアムズが撮ったこの作品は、よりわかりやすく、全ての謎を具体的に解いてみせる。
胎児となって宇宙へ消えた乗組員は?
叛乱を起こしたコンピュータは?
地球や月にあった石板の謎は? ----------。
ロイ・シャイダー扮するアメリカの科学者たちが、ソ連の宇宙船に同乗し、謎の解明のために木星へと向かう。
前作のあまりにも壮大なスペクタクルと興奮に対決するには、ピーター・ハイアムズ監督としては、この手でいくしか方法がなかったのだろうと思う。
しかし、米ソの関係悪化が、宇宙船の乗組員にまで影響を及ぼし、石板の異変が起きるあたりは、作者のテーマと思想が露出して、我々の前作に対するイメージまで、否定してしまう不満もある。
しかし、「スターウォーズ/帝国の逆襲」や「レイダース」でアカデミー特殊効果賞を受賞したスタッフによる特撮は、実に見事だ。
宇宙船のドッキングや、木星を覆う石板のスペクタクルにも目を見張らされる。
まあ、前作との比較はさておいて、この作品はこの作品なりに、ドラマチックな宇宙サスペンスとして楽しめばいい娯楽作品なのだ。