マックQ
シアトル警察のはみだし刑事マックの相棒が殺害された。マックは影で糸を引く麻薬ギャングをぶちのめすが、上層部から事件に介入することを禁じられる。辞表を提出した彼は、友の敵を討つため私立探偵となり、警察内部の不正を暴く……。海岸でのカー・チェイスも珍しい、J・ウェイン主演の刑事アクション。
この映画「マックQ」は、西部劇の大スター、ジョン・ウェインと西部劇の大御所ジョン・スタージェス監督が初めてコンビを組んだ爽快な刑事アクション映画。 この映画「マックQ」は、西部劇の大スターのジョン・ウェイン初の刑事役で、ウィンチェスター銃と馬を、特製ピストルと新型車に変えて大活躍する刑事アクションで、監督が、これまた、「OK牧場の決闘」や「荒野の七人」の西部劇映画の大御所ジョン・スタージェス監督で、意外な事に初めてコンビを組んだ作品です。 映画の舞台は大都市シアトル。中年の刑事ボイルが何者かに散弾銃で射殺されるという事件が起こります。 ボイルの友人の警部補ロン・マックQ(ジョン・ウェイン)は、激怒して自分の手で犯人を捕まえようと決心します。 このマックQを演じる、我らがジョン・ウェインは、黒のブレザーにポロシャツというラフな姿が結構さまになっていて、動きにやはり、敏捷性を欠くのが唯一の弱点ですが、しかし、そんな事はどうでもいいというばかりの貫禄、これは大したものです。 波止場を逃走する殺し屋を、ジャンパー・スタイルのマックQが背後から狙い撃ちして、一発で仕留める場面など、ジョン・ウェインがやるとさまになるし、やはり非常にカッコいいですね。 とにかく、西部男だろうと、刑事だろうと、そんな事には一切お構いなしに、あくまでもジョン・ウェインの持ち味をひたすら貫いているところに、感動すら覚えてしまいます。 そして、麻薬王のサンチャゴという男に目星をつけたマックQは、レストランのトイレの中で彼をこてんぱんに痛めつけて半殺しの目にあわせます。 この事が上司に知れて、マックQはこの事件から手を引けと命じられたため、彼は警官バッジや拳銃を上司に返して一介の市民となり、私立探偵の肩書を得て単独で捜査を続行する事になります。 意外な人物が犯人だったという事になるのですが、とにかく、警察、麻薬ギャング、犯人一味、それにマックQが入り乱れて繰り広げる、相当入り組んだ複雑な筋立てを、さすが百戦錬磨のジョン・スタージェス監督は、手際よく、うまく演出していると思います。 考えてみれば、ふつう、このようなアクション映画は、展開にスピード感を強調して演出するのが定石なのですが、ジョン・スタージェス監督の演出は、逆にゆうゆうたる描き方で、おおらかな雰囲気の楽しさを盛り上げてくれます。 しかし、そうは言っても、スタージェス監督はアクション映画としての面白さのツボも十分心得ているから、映画好きとしてはたまりません。 追いつ追われつのカー・アクション場面も、ダイナミックな迫力があるし、強奪した麻薬をクリーニング屋のトラックに積んで、ハイウェイを突っ走るギャングたち。 近道をぶっ飛ばして彼らを追走するマックQ。 そして、この映画の最大の見せ場とも言える、ラストの海辺における銃撃戦。 2台の車に分乗したサンチャゴと武装した手下どもは、マックQをどこまでも追跡します。 この3台の車がしぶきをあげて海辺を疾走する光景は、映像的に観てもなかなかスリリングで迫力があるし、何よりも非常に美しいのです。 やがてボストン・バッグから高性能マシンガン、イングラムを取り出したマックQは、車もろとも手下どもをやっつけ、最後は、サンチャゴの胸に銃弾をぶち込むのですが、このクライマックス・シーンは、格調高いタッチで西部劇的な爽快感、カタルシスを表現したところは、やはりジョン・スタージェス監督とジョン・ウェイン主演だからこそ成し得たのだと思います。
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